第123話 冒険者ギルド2

その後、俺はAランクの冒険者証を受け取り、人魚のルアの冒険者登録に立ち会う。


通常はFランクからスタートするが、テストを受けてその実力を証明すれば、上のランクからもスタート出来るとの事だったので、テストを受ける事にした。


俺がAランクでルアがFランクだと何かと面倒だからね。


俺と一緒に『海の洞窟』を攻略してるので、ギルド長のリーエルも興味津々で立ち会うと言いだした。


ギルドの訓練場で俺とブラックドッグのギルドへクロドと人魚のルアが待っていると、リーエルとナマドンが1人の体格の良い男を連れて来た。


「おう、俺はAランク冒険者のガアノ・ルドシュワ・ルツエネツだ! ガアノと呼んでくれ」


なげえ名前。笑っちゃうな。覚えらんないよ。


「期待の冒険者って小僧の事か? まさか、相手はその黒い犬じゃねえよな?」


「あぁ、俺もAランク冒険者だ。名前はユウマ。こっちは相棒のクロド。あんたの相手は彼女だ」


「ルアと申します。宜しくお願い致します」


ルアが頭を下げて挨拶をする。


「お嬢ちゃんか、無理しないでFランクスタートで良いんじゃねえか? 俺と模擬戦でテストは厳しいぞ」


「お気遣い有難う御座います。ですが、どうぞご遠慮なさらずに……」


「ふむ、まあいいか」


ガアノは斧を手にして訓練場の中央に歩いていった。


「さあ、遠慮しないで全力で掛かって来なぁ!」


ルアは水竜の杖を出して、無言で歩き出す。


「あ、リヴァイアサンの召喚は無しだぞ。ギルドが潰れちまう」


リーエルが小声でルアに囁くと、ルアは軽く頷きガアノと対峙した。


「ギルド長、ルアちゃん大丈夫かしら、ガアノさんって、手加減が下手ですよ」


「『海の洞窟』をユウマと一緒に攻略したんだろ。大丈夫さ」


「お! やってるぞ」

「間に合った」

「ルアちゃん頑張れー!」


冒険者達が宴会を待ちきれず、訓練場の観覧席に入って来た。


ん? ギルド長が皆に言ったのか?


俺が顔を顰めていると……。


「ユウマさん、すいません。ガアノさんにテストをお願いしてるのを、聞いていた冒険者がいたみたいで……」


ナマドンさんが俺に謝るが、冒険者のスキルって秘匿じゃ無かったのか?

って思うと、気に食わないな。


「ガアノさんが相手で大丈夫かな?」

「手加減出来るのかな?」

「ガアノさんって、このギルドで5本の指に入る実力だぜ」


外野が煩い。


ルアは水竜の杖を構えた。


ガアノは杖を構えたのを見て、ルアが魔法を使うと判断し、魔法詠唱前を狙って素速く踏み込んだ。


しかし、ルアは無詠唱で水流を放出した。カウンターで水流がガアノに直撃し、高圧で速い水流はガアノの胸に当たり、ガアノを弾き飛ばした。


訓練場の壁に背中をぶつけて白目で気絶するのであった。


「すげえ、無詠唱であの威力か」

「しかも速いぞ」

「あのガアノさんが一発で負けるなんて……」

「ルアちゃんこえぇ」


無事にルアはBランクになったのであった。


Aランクでも良いよねぇ。と思ってたら、ナマドンさんから「すいません。最高でもBランクスタートなんですよ」って言われた。残念。

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