第122話 水竜の杖
冒険者ギルドのギルド長リーエルが、俺からダンジョン攻略の報告を受けて、一息ついたあと尋ねてきた。
「ほう、成る程な。各階の出現モンスターが分かったのは有難い、素材も買い取りさせてくれるんだろ?」
「そのつもりです」
「有り難う、助かるよ。ところで、スキルの公開は冒険者にとって秘匿だから聞かないが、ラスボスぐらいは教えてくれねえか?」
「ラスボスはお楽しみと言うことで、喋る気はありません」
リヴァイアサンの存在を教えると、リヴァイアサン目当てで、高ランクの冒険者が来ると困るから、教えたく無いんだよね。
「ふむ、そうか。是非知りたい情報なんだよなぁ。そこをなんとか頼むぜ」
「うーん。それは秘密にしたいんですよねぇ……。素材の買い取りもランク昇格も結構なので帰ります。」
俺は立ち上がる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。つれない事を言うなよ。ラスボスの事は聞かないから座ってくれ」
とリーエルが慌てて俺達にそう言うので、ソファーに座り直す。
「せめてダンジョンからの攻略報酬は教えてくれ、攻略の証拠として確認したい」
「うーん。それもなぁ……。」
秘密にしたいんだよなぁ。リヴァイアサンを召喚出来るって、色々ヤバイだろう。だけど、あれもこれも秘密にするのも、申し訳ないかなぁ。
「誰にも言わないでくださいね」
「分かった分かった。誰にも言わねえ」
「ルア、杖を出して」
「はい」
人魚のルアは水竜の杖を出した。
俺はルアから杖を受け取り、リーエルに渡す。
「コレです」
「おいおい、新人冒険者に預けてるのか? 危ねえぞ。どれどれ……」
リーエルは鑑定の魔法で水竜の杖を見た。
「ええええええ! こ、コレは? 神話級の武器じゃねえか! マジかぁ……。リヴァイアサンを召喚出来るなんて、下手な軍隊なんて目じゃねえなぁ」
「だから見せたくなかったんですよ」
「これっ、買い取りさせて貰えない……よなぁ?」
「ダメダメ、返してください」
俺はリーエルから杖を掴み取って、ルアに返した。
「これは攻略は間違いねえな。こんな宝が出るなら、ラスボスも神話級か? 本来ならSランク案件だなぁ。」
(Sランクの冒険者なんて来たら拙いぞぉ、失敗したか?)
「ラスボスを教えてくれて、その素材をギルドに提供してくれるならSランクにも推薦するんだが……。教えてくれないんだよな?」
「教える気はありません」
「そっかぁ。しかも海中洞窟って言うのが、更に難易度が跳ね上がるな。海中で使えないスキルも多いからな。Sランクと言えども、海中でその実力を発揮出きる奴は、ほぼいないだろう」
(あ、そうか。炎系の魔法は、ほぼ使えないし、剣技等も陸上と同じ様には使えないんだ。割りと大丈夫なのか。そもそも海中でリヴァイアサンと戦って勝てるのが、おかしいのかも)
「益々、ユウマのスキルは気になるところだが、約束だから聞くのは止めよう」
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