第120話 海の洞窟攻略後2

その後、人魚のルアは人魚族を海の洞窟に連れて来た。


ダンジョンマスターでありセルキーのリオは、ラスボスの部屋の下に人魚族達が暮らす空間を作成し、人魚達と一緒に暮らすそうだ。


人魚達はダンジョンを自由に出入り出来るようになった。


また、ダンジョン内の階層も自由に行き来出来る様になり、『海の洞窟』は更に凶悪になった。


人魚達は小さい子や老人が、いつ襲われるか怯えて暮らす事が無くなり、若くて、戦える者は積極的にダンジョン防衛に加わわったからだ。


まあ、自分達の新たな住み家を守る為なので、当然と言えば当然だね。


マーマンの物理攻撃に、人魚の魔法や歌も加わり、連携もスムーズになるとより一層攻略は難しくなるだろう。


ダンジョンモンスターのマーマンと異なり、人魚は相手を倒すとレベルアップする事から、日にちが経つに連れて益々難易度は上がると思う。


長年1人ぼっちでダンジョンを管理していたリオは、ハイテンションになって喜んでいる。


匿うと言っていたが本当は一緒に暮らし、会話が出来る仲間が欲しかったのかもね。


リヴァイアサンは、ラスボスの部屋にいる。ダンジョンの呪縛から解放されたリヴァイアサンは、自由にダンジョンに出入り出来る様になったのだが、長年住んでたラスボスの部屋の居心地が良い様だ。


人魚やリオと自由に会話も出来るので、寂しく無くなったのも大きいかな?


俺も空間転移自由に出入り出来るので、偶に来ようと思っている。ルアが仲間と会いたいと思うし、魚を食べたいし、ルアも魚は大好きだしね。


あ、因みにルアは俺と一緒に来る事になった。恩を返したいと切に言われたので、熱意に負けて同行を許した体にしているが、心を許せて強くて可愛い子の同行を拒む理由は無いでしょ。


リオから貰った『水竜の杖』はルアに渡した。ルアなら水魔法も元々使えるし、有効に利用してくれるだろう。


俺とブラックドッグのクロドと人魚のルアは、『海の洞窟』を出る事にした。


ルアは陸で暮らすので、女性の冒険者が来ていた服や防具と、偽装のために潜水用の器材を遺体から回収し装備した。


リオとリヴァイアサンと人魚達に別れを告げて、ラスボスの部屋から攻略者が使用する転移の魔法陣に乗った。


『海の洞窟』出入口の近くに魔法陣が浮かび上がる。


魔方陣が淡く光り、魔法陣の中央に俺達が現れた。


ん? 周りに沢山の冒険者達が器材を着けて浮かんでいるぞ。


ちょうど朝方で冒険者がダンジョンに潜るピークの時間だったのか。


「あ、あんた達、も、もしかしたらダンジョンを攻略したの……、か?」


「そうです。ユウマ様はダンジョンを攻略しました」


ルアが男に答えた。


「やっぱりそうだったんだぁ!」

「ダンジョン攻略時の魔方陣を初めて見たぞぉ」

「えええええええ!」

「すっげぇ」

「難攻不落の『海の洞窟』を!」

「攻略した者出たぞぉおおおお!」

「おおおおおおおお!」


湧き上がる冒険者達の歓声。


「こうしちゃいられない」

「今日は宴会だ!」

「ダンジョンは明日にしよう」

「ついて行きます!」

「俺も!」

「私も!」

「おいどんも」


冒険者達の言葉に……。


ん? なになに、何事ぉおおおお!

驚き慌てる俺。


いつも冷静なクロド。

誇らしげなルア。

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