第119話 海の洞窟攻略後

「ダンジョンも制覇したし帰るか?」


「帰ろうワン」


俺は相棒であるブラックドッグのクロドに言ったのだが、ルアが俺の目の前に来た。


「ユウマさん、お願いがあるのですが、聞いていただけませんか?」


「ん? なにかなぁ? 聞くだけは聞くよ。受けるか否かは内容次第だね」


「あぁ、有り難うございます」


「……」

俺は黙ってルアを見つめ、話の続きを待つ。


「現在、私達人魚族は様々な種族に迫害されております。捕まえられ見世物や慰み者にされているのです。必死に抵抗しておりますが、力の差は歴然で如何ともし難く、風前の灯火であります。そこで私はユウマ様について行きそこから逃げようと考えていました。しかし、ユウマ様と行動を共にさせていただき、そのお力をお側で見る機会に預かり、その実力を肌で感じる事が出来ました。ユウマ様のお力は勇猛無比、神にも匹敵するお力である事が分かりました。どうか我々人魚族をお助けください」


「え? 神は言い過ぎだ。それ程では無いので言葉は正しくね。ルアの願いは分かったが……、そうだなぁ……」


ルアはゴクリと喉を鳴らし、縋る様な目で俺を見ている。


「助けてあげたい気持ちも無い事は無いが、俺は陸で生きる種族だ。海で生きる君達とずっと一緒にいるわけにはいかない。なので、君達と行動を共にする事が出来ない。助けると言う事は行動を共にして、襲ってくる敵を倒す。または、その脅威を取り除かなければいけないのだが、自分と同じ種族を根絶やしにする気も無いし、そこまでの実力も無いと思う」


「うぅ……」

半泣きのルア。


「ん~、そこでだ。同じ海で生きる者であるリヴァイアサンに守って貰ったらどうかな? リヴァイアサンは元々は、この辺りの覇者として存在していたのだろう? その存在に戻るだけだ」


「我は構わんぞ。囚われの身から解放して貰い、この命を救って貰ったのだ、それぐらいの事はしよう」


「恐らく無理だワン。初めは撃退出来ると思うが、Sランクモンスターとして、認知されればそれ相応の実力の者が必ず来ようワン。リヴァイアサンとて、いつかは敗れるワン。リヴァイアサン1人なら逃げる事も出来るが、人魚族全てを逃がす事は出来んワン」


「それもそうかぁ……。可哀想だから何とかしてあげたい気はあるんだけどねぇ。何処か逃げる先でも有れば良いのだけど……」


その時、セルキーのリオが話に混ざって提案して来た。


「人魚族をこの迷宮に匿いましょうか? この迷宮はユウマに攻略されるまで、何百年もの長い間攻略される事がありませんでした。最深部に住めば何人なんびとたりとも、おいそれとは手出しが出来ないでしょう」


「成る程、それは良い手だね。少なくとも現在より環境的には良いし、時間が有れば、更に良い手を思いつくかも知れない。ルア、どうかな?」


「あぁ、有難う御座います。私達には、この恩に報いる者がありませんので、ユウマ様にこの身を捧げます」


「え? 俺じゃなくてリオにだろう」


「いや、私はユウマに見逃された恩に報いるだけだよ」


「ユウマ様にお仕え致します」


ルアの決心は固い様だ。


「ん~、俺はこのダンジョンを出たら、ほぼ陸で生活するよ。人魚はついて来れないでしょう」


「大丈夫です。何故かユウマ様と行動を共にしておりましたら、レベルアップをして人化出来る様になりました。ご覧ください」


淡い光がルアの全身を包むと、ルアの下半身が魚から、人間に変わった。


スラリとした足、魅力的な太股……。

当然、何も履いて無いよぉ。

目のやり場に困る……。


と思いながらも、見ない振りしてじっくり見てしまう哀しい男のさが


実はアザラシの毛皮を脱いだリオも全裸だったので、チラチラ気になって見てました。

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