第118話 セルキー

「ちょっと待って下さい。全て話します」


俺がアザラシの姿をしたダンジョンマスターの、セルキーを封印しようとしたら、セルキーは慌てておれの前に来た。


そして、アザラシの皮を脱いで跪いた。


中から出て来たのは、黒髪黒目の綺麗な女性だった。


「私はセルキーのリオと言います。とある事情でダンジョンマスターになったのですが……、すいません。初めに言うべきは、リヴァイアサンを長年無理矢理束縛して、その意志に反してダンジョンのラスボスとして、使役していた事を本人にお詫び申し上げるべきですね。その事は本人にお詫びし反省致します」


「まあ、それはリヴァイアサン本人に言ってください」


「はい。……それで、ダンジョンの役割なのですが、この世界の地下深くには、竜脈と呼ばれる魔力の元が流れる道があります」


「竜脈?」

「間違ってはいないワン」


「そして、その竜脈が交わり魔力が集中している場所を竜穴と言うのですが、この下には、竜穴があるのです」


「竜穴?」

「うむ、確かにこの下は、魔力が集中して濃厚になってるワン」


「その竜穴を放置するとモンスターが大量に発生して、災害が起こるのです。そのモンスターの発生を抑制し、魔力の元である魔素を利用し消費する為に、ダンジョンを生成する必要がああるのです。」


「ふ~ん。それで?」


「この地に竜穴が発生した際、私は然る方の命令でダンジョンコアを持って、ダンジョンマスターになるべくここ来ました」


「ふ~ん。」


「しかし、この地にはリヴァイアサンを初め、強力なモンスターが徘徊しており、出来たてのダンジョンでは、役目を果たす事が出来無いと思い、なけなしの力を使ってリヴァイアサンを取り込んだのです」


「成る程。……だそうだ。どう思う?」


俺が振り返った先には、封印を解き亜空間から展開したリヴァイアサンが、ボス部屋から覗いていた。


「ひぃ」


後退るセルキーのリオ。


「大いなる者の命令であればやむを得ないのかのう。我はここから出して貰えれば、水に流そう」


とリヴァイアサンが答えた。


「そうか。リヴァイアサンがそう言うなら、俺も殺されそうになったが、ダンジョン内の事なので、許す事にするかな。リオを殺したり、ダンジョンコアを貰うと厄介な事になりそうだし……報酬は貰えるよね?」


「……は、はい。リヴァイアサンは解放し、報酬を差し上げます」


「水竜の杖を渡してくれ。我も殺されずに救われたのでのう。」


とリヴァイアサンがリオに言った。


「水竜の杖? それはどんな杖だ」


俺がリヴァイアサンとリオに尋ねた。


「強力な水魔法が使えて、いざとなれば我を召喚する事が出来るぞ」


リヴァイアサンが誇らしげに言う。


ふむ、使いどころがあるかなぁ? あまり嬉しくもないが、まあ、貰っておこう。本人には馬鹿正直に言わなくても良いな。


「分かった。有り難く水竜の杖を貰おう」

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