第116話 水竜2

結論、リヴァイアサンの脳収納は出来なかった。


やっぱりダメかぁ。

そうじゃ無いかと思ったんだよね。

封印も効かないかったし。


どうしようか、迷ってたら……。


「グガガガガガッ」


リヴァイアサンが急に苦しそうに首を振り回した。


脳収納の影響じゃ……、無いよね。

空間魔法は後ちょっと届かなかった様だし。


苦しみがおさまり、リヴァイアサンは俺を見ているが、その目は正気を逸している様だ。寧ろ狂気を宿してる?


「ガアアアアアア」


ん? さっきのお気楽な感じが無くなったな。


「グルルルル」


リヴァイアサンの口に魔力が集まりより濃厚に変っていく。


ブレスか?


リヴァイアサンの口から高圧の水流が放たれる。


ブシュウウウウウウ…。


俺は転移して躱した。


海中で水流を出してもそんなに威力が無いんじなないの?って思ったけど、後ろの壁が削れるぐらいの威力はあったので直撃したら死ぬかもね。


俺が転移した先に直ぐに顔を向けるリヴァイアサン。


「グルルルル…コロス…」


ん? 何だか雰囲気も変わったな。


テールアタックが俺に迫る。

海中なのに速いんだよね。


転移で躱して、空間削除で尻尾を……消せないか……。


ちっ、俺が転移で現れた先も攻撃が来る様になって躱すのもしんどくなってきた。


その時、歌声が聞こえてきた。


ルアの声……。


海中でも声が聞こえるんだな。


俺の力が増して行くのが分かる。


これなら行けそうだ。


封印!


リヴァイアサンの動きが止まった。

お! 封印が通った!


そのまま、収納!!


目の前のリヴァイアサンの姿が消えた。


俺が開けた扉の穴から俺に向かって泳いで来る、ブラックドッグのクロドと、人魚のルア。


「危なかったワン」

「大丈夫?」


俺はクロドの頭を撫でながら、ルアを見た。


「ルア、有難う、助かったよ。君がいなかったら倒せなかった」


「無事で良かった」


俺に抱き付くルア。


まあ、やられる気は無かったけどね。


いざとなったら、この部屋の外に転移で逃げれば、リヴァイアサンから逃げられるし。


俺もルアを抱き締めて、後頭部を撫でた。


?! 胸が当たってるんですが……。


……役得。


「さて、黒幕と御対面と行こうか」


俺は壁を見詰める。


多分、ラスボスのリヴァイアサンを殺してれば、何らかの変化があったのだろうけど、封印しただけだからな。


宝箱も出ないし、転移魔法陣などの出口も出現しない。


しかし、空間魔法で空間把握してる俺には、隠されたダンジョンコアのある部屋が隣接している事が分かってるし、その中にダンジョンマスターがいる事も知っている。


リヴァイアサンをダンジョンの中に引き摺り込み、出られない様にして、ラスボスに利用した元凶。


俺はダンジョンコアがある部屋と、この部屋を仕切る壁に、空間削除で穴を空けた。


「え? 穴が空いた。部屋がある!」

驚くルア。


「ああ、俺の魔法で穴を空けた」


丸く空けた穴の先にある部屋の真ん中に浮かぶ光る玉。


あれが、ダンジョンコアだな。

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