第115話 水竜

俺はボス部屋の扉を開けた。広大な空間の真ん中に水竜が1匹いた。水竜の名前はリヴァイアサン。銀色の身体の巨大な海蛇の様な竜。


金色の瞳が鋭く、強力で濃厚な魔力が漂い、その巨大な身体が発する威圧感が半端ない。


「ぐっはっはっは、よくぞここまで来た。我はリヴァイアサン。海を統べる者だ」


「おっ、喋るモンスターだ」

割と暢気な俺。


「ひぃいいいいいい」

俺の背中にしがみ付く人魚のルア。


俺の横にいて無言でリヴァイアサンを睨む、ブラックドッグのクロド。


「世界を破滅に導く水竜って言われているみたいだけど、自覚はあるのかい?」


「世界を破滅に? 知らんなぁ」


「じゃあ、この迷宮の最下層に来る前は何をしてた?」


「海を泳いでいたら、怪しい気配がしてなぁ。様子を見に行ったら、このダンジョンが新しく生まれるところだった。そして、このダンジョンに取り込まれたのだよ。あっはっは」


『あっはっは』じゃねえよ。お気楽だなぁこいつ。


「それで、出られなくなったのか」


「うむ、その通りだ……」


「ばっかじゃねえの」


「むむ、このダンジョンに囚われて初めての攻略者だから、話をしてやったのに、馬鹿とはなんだ! 我は怒ったぞ!」


はぁ、どうしよう。ダンジョンのモンスターじゃ無いのか。取り敢えず封印かな?


俺はリヴァイアサンを封印した……?

リヴァイアサンは長い尻尾を叩き付けてきた。


グオオオオオオ!


俺は咄嗟に亜空間で障壁を作り防御した。隣にクロド、後ろにルアがいるからね。避けられない。


亜空間でリヴァイアサンの尻尾を受け止めた。


「おお! 我のテールアタックを防ぐとは、中々やるのう」


くっ、何故封印出来なかった?


無効にされた訳ではない。確かに、封印の空間魔法をリヴァイアサンに放ち、リヴァイアサンを封印しようとした。


「あっはっは、何やら不思議な魔法を使う様だが、我には効かんぞぉ! ……ちょっとビックリしたけどな」


純粋に力が足りないのか? 後少しだったんだがな……。


「クロド、ルア、拙いかも知れない。逃げろ!」


「分かったワン」

「はいぃいいいい」


クロドとルアは閉じられた扉の前に下がった。


「がっはっは、ここからは逃げられんぞ。我を倒さなければここからは出られん仕掛けだ。」


「お前はそうかも知れないが、俺達はそうでもないと思うぞ」


俺は空間移動でクロドとルアの前に転移した。


そして、空間削除扉に穴をあけた。


「な、なんと? 我を倒さなくても出られるのか? 我も出られるのか?」


「どうだろう? ちょっと試してみよう」


俺はリヴァイアサンの頭上に、空間削除でリヴァイアサンが出られる大きさの穴をあけた。


封印が効かないので、戦いを避けられるなら避けて、恩をうった方が良いだろう。


「ぬぉ! で、出れん。でん出られんけん、出て来んけん……」


リヴァイアサンは、俺が作った穴を通ろうとするが、穴の先に進む事が出来ない様だ。


「ダメみたいだな。さて、続きをしようか、リヴァイアサン」


俺はリヴァイアサンの前に転移した。


やむを得ないな。


脳収納だ!!! そして経験値を貰っちゃおう。

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