第110話 人魚
『海の洞窟』を水中スクーターで進む俺とブラックドッグのクロド。
亜空間に収納出来る範囲のマーマン達を脳収納で倒して、死骸を亜空間に収納しながら、次の階層を目指していると、なんだか様子がおかしい人達を見つけた。
人魚と冒険者戦っていると思ったら、冒険者が人魚を捕まえて、連行している様だ。
しかも、俺達が進む通り道をこちらに向かって来る。
人魚の姿も見てみたいし、そのまま近付いて行くと、冒険者達が水中スクーターで進んで来た。
1人が人魚の両手を縄で縛って引っ張っている。人魚は思ってた通りの上半身が女性で下半身が魚のタイプでだった。
上半身は裸だが、ビキニトップスの様なモノ?を着けているので、胸は見えないが、割りと大きいほうみたい。
上半身の女性部分は、15歳前後のまだ幼さが残る少女ぐらいの可愛い顔だが、半泣きで悔しそうな顔で引っ張られていた。
「こんにちは」
取り敢えず明るく声を掛けてみた。
冒険者達は無言で、先頭の冒険者が怪訝な顔でこちらを睨んでいた。
「何だ、てめえ」
いきなり酷い挨拶だな。
「Bランク冒険者のユウマ言います。人魚を連れている様だけど、どういう事かなぁ?」
ストレートに聞いてみた。
「はぁ? てめえには関係ねえだろう! そこを退け!」
「……」
人魚については何も言う気はなさそうだな。
ユウマが水中スクーターを止めると、冒険者達も水中スクーターを止めて、無言で向かい合う。
俺は洞窟の壁側に避けた。クロドも俺の横をついてきて壁側に避ける。
「へっ、サッサと退けろよ」
「あはは、犬なんて連れて『海の洞窟』に潜るなんて、馬鹿な男だ」
「ククク、犬と小僧が何か出来ると思ってんのか?」
冒険者達はそれぞれ言いたい事を言いながら、通り過ぎようとしていた。
最後に冒険者に連行されている人魚が、ユウマの目の前を通り過ぎようとしていた。
人魚は泣いていた。
「神様、助けて……」
消え入りそうなか細い声で呟く。
人魚は人の言葉を話す、知的な生物である事を確信する。モンスターなんかじゃない。
「ちょっと待て!」
ユウマは通り過ぎた冒険者達に声を掛けて、追いかけた。
「何だてめぇ!」
「俺達に文句があんのかぁ!」
「あ゛ぁ!」
冒険者達が振り替える。
「あぁ、文句があるとも、俺に喧嘩を売ってるんだろう? 買ってやるよ」
ユウマは冒険者達に追い付く。
「あ゛ぁ! Bランクだからっていい気になるなよぉ!」
「残念だったなぁ、俺達もBランクなんだよぉ」
「その犬はモンスターだろう?」
「だが、犬が海中で戦えるのか?」
「魔石を貰っちまうか」
冒険者達は5人。ユウマと対峙する。
さて、どうどうしようか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます