第108話 海の洞窟1

俺とブラックドッグのクロドは、アカリフォルニの冒険者ギルドに来た。


トンワシンの冒険者ギルドで、受付嬢のセビヨンから機材購入後は、トンワシンに戻って欲しいと言われたが、アカリフォルニの魔道具屋で、『海の洞窟』に入る為の魔道具を売ってる事が気になったからだ。


魔道具屋のロスキュー・バプで、店長のムエミネさんに、『海の洞窟』に入ると言った時、何のリアクションも無かった事も引っ掛かってる。


具体的に言うと、アカリフォルニからも『海の洞窟』に行けるんじゃね? と思ってる。


冒険者ギルドに入ると、案の定、アカリフォルニからも『海の洞窟』に行ける事が分かった。


『海の洞窟』は海の中に入口があった。船で行けばトンワシンからもアカリフォルニからも行ける。どちらかと言うと、トンワシンの方が若干近い程度だ。


船でいかなくても、水中スクーターで行く手もあるしね。


アカリフォルニの冒険者ギルドの受付嬢であるセクシーなお姉さん、ナマドンさんが懇切丁寧に教えてくれた。


このまま、『海の洞窟』に行っちゃおうと思ってる。空間把握を使えば迷わず行けると思う。


「迷わず行けよ、行けばわかるさ!」

関係ないけど、何となく、このフレーズを思い出した。


『道』と言う詩の一節だ。心機一転、これからの冒険に相応しく、今の状況にマッチしてる気がする。


俺はウエットスーツを着て、クロドと一緒に砂浜を歩き海を目指す。


クロドはウェットスーツを着ていない。ダイビング用マスクと呼吸器を着けて、水上スクーターは、手に持つタイプでは無く、身体の両脇に装着するタイプの物を装備している。


俺にはフル装備で、水上スクーターだけ亜空間に収納している。


俺とクロドは海に入ると、俺はクロドに乗って、クロドは水中スクーターを起動した。スクリューの回転音がして進み始めた。


海の上をクロドに乗って進む。


海水浴の人達を擦り抜け、あっと言う間に沖まで出た。


快晴、見渡す限り海。空間把握の能力が無ければ、迷うだろうね。受付嬢のナマドンさんに「水中スクーターで行ってみる」って言ったら、必死に止められたし……。


俺の空間把握とクロドの音探知、魔力探知で周囲を警戒しているので、モンスターが近付けば分かる様にしているが、今のところ危険は無さそうだ。


水中では、魚が泳いでいるのを感知しているが、問題はないだろう。


暫く進むと『海の洞窟』の真上に着いた。さて、潜りましょうか。


俺は亜空間から水中スクーターを展開すると、クロドと一緒に海中に身を投じた。


俺達の周りに青の世界が広がる。

ゆっくりと降下しながら、何度も耳抜きをして海中の景色を楽しむ。

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