第101話 黒の群盗討伐後
黒の群盗の砦を騎士団が制圧した。
土蜘蛛は全ていつの間にか魔石を抜かれており、盗賊達は封印されて固まっていた。
ユウマとブラックドッグのクロドが砦を後にしようとするのを見ても、冒険者達は『豪勇の斧』が封印されたのを見て、恐れて声を掛けられず、騎士達は盗賊達の拘束や砦内の捜査で忙しく、それどころではない。
そんな中でユウマに声を掛けたのは2名。
ベーマタ騎士団長と、Aランク冒険者パーティー『黒紅の無頼』のリュウセイだ。
「ユウマ、来てくれて有り難う。助かったよ。都市に戻ったら是非、報酬を受け取って欲しい」
ベーマタ騎士団長がユウマに声を掛けた。
「いえ、助けるつもりで来た訳ではないので、お礼は要りません。都市に戻るつもりもありませんので」
「何処に行くんだい?」
リュウセイがユウマに尋ねた。
「ん~、この国を出ます」
「そうかぁ、寂しくなるなぁ」
「ははは、そうですか?」
「ちょっと待ってくれ、何とかこの国に居て貰えないか?」
慌ててベーマタがユウマにお願いした。
一瞬で盗賊やモンスターの群れを殲滅する能力は破格だ。他国の戦力になると思えば恐ろしく、騎士団長の地位にいる者としては、何としても引き留めたいのだ。
国に囚われない冒険者のリュウセイと、騎士団長ベーマタのスタンスは全く異なる。
「いえ、この国に残る気は全くありません」
「どうしてもダメかぁ……。報酬も望まないし、地位も要らないのだろう?」
「そうですね。今は自由に、そして休みたいのです。報酬も地位も要りません」
「まあ、また何処かで会う事もあるだろう。ところで、『豪勇の斧』は動ける様になるのかな?」
リュウセイは割りと気楽にユウマと話す。
「『豪勇の斧』?」
「ユウマに封印された冒険者達だよ」
「ああ、ミナト達を探している時に、邪魔しようとした人達ですね。半日もしたら解けますよ」
「そうかぁ。それなら解けてから自力で帰って貰おう」
「盗賊達も半日で動ける様になるのか?」
ベーマタ騎士団長もユウマに尋ねた。
「いえ、丸1日以上はそのままです」
「そうか、それならこのまま馬車に乗せて運ばないとダメだな」
「じゃあ、俺達はこれで失礼します」
ベーマタ騎士団長がまだ聞きたい事がありそうだったが、話を終わらせて帰る事にした。
もう疲れたよ。
俺とクロドはこうして砦を後にした。
黒の群盗の金目の物を半分ぐらい、密かに亜空間に収納した事は内緒だ。
報酬をくれるって話だったので、これぐらい良いだろうと思い始めている。
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『風月の戦乙女』とメイも砦から引き上げて来た。メイは馬車の中で必死に次回作の原稿を書いていた。
サキヨマとリマサノは封印されて騎士団に拘束されていた。背後関係の自白を強要された後、死刑か終身鉱山奴隷になるだろう。
ミナトは謎の死を遂げていたが、アオイとヒマリは封印されたまま、騎士団に拘束されている。サキヨマ達と同様に死刑か終身鉱山奴隷になるのだ。
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好評連載中で、第5話まで投稿しています。こちらもご愛読いただけたら嬉しいです。
タイトルは、
『モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~』
URLは
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