第100話 サキヨマとミナト2
俺はブラックドッグのクロドに乗って、サキヨマとリマサノとミナトがいる崖の下まで降りていく。
そこには、封印されて固まっているミナトと、ミナトと額がぶつかり黒面が壊れ素顔をさらすサキヨマ、黒面を着けて槍を構えるリマサノがいた。
「サキヨマさん、ミナトをこっちに渡して貰おうか」
俺はサキヨマに話し掛けた。
「ちょっと待ってくれ」
サキヨマは俺にそう言った後、リマサノに小声で囁く。
「リマサノ、ミナトとユウマって揉めていたって話だよな?」
「ああ、確かミナトのパーティーでポーターをしていたが、首になって殺されそうになったと聞いていましたが……」
「どういう事だろう? ミナトを助けるつもりか?」
「分かりませんね。一緒に活動はしてたから情はあるのかも」
「良し、一か八か交渉してみるか」
サキヨマは何か勘違いをして、俺に話掛ける様だが、俺はミナトとアオイ、ヒマリを封印して逃がさない様にしてるので、割りと余裕があり、取り敢えずサキヨマの話ぐらいは、聞いてやろうと思っていた。
サキヨマはナイフを出して、ミナトの首にナイフを当てると俺に話し掛けてきた。
「ユウマ、お願いがある。俺達を見逃してくれるなら、ミナトはユウマに渡す。見逃す気が無いならミナトを殺す」
ん? 何言ってんだ。
「サキヨマさん達を見逃す気はないし、ミナトは俺が殺す。それ以外にあなた達の取れる行動は無いよ」
「ん? どういう事だ。ユウマが一歩でも動けば殺すぞ」
あー、面倒になってきたぞ。
取り敢えずサキヨマのナイフを持つ手を封印した。
「殺ってみたらいい」
俺はサキヨマに近付く。
「近付くなぁ! ……う、手が動かない」
リマサノが槍をミナトに突き刺そうとしたので、リマサノも封印して……。
「ユウマぁ! お前は何者なんだぁ? 助けてくれよぉ。ここで捕まれば、死刑されるんだよぉ!」
サキヨマが叫ぶ。
「自業自得でしょ」
俺はサキヨマも封印した後、ミナトの顔だけ封印を解いた。
「ミナト、故郷の村に行ったよ。俺の父親を殺したんだってね。最後に何か言う事はあるか?」
「ユウマぁ! きさまぁあああ! 身体を動かす様にしろぉ。俺がポーターで雇ってやったのを忘れたのかぁ! 恩を仇で返しやがってえええええ」
ミナトは大声で喚き出した。
「それが、最後の言葉なのか? 最後まで自分勝手で傲慢でどうしようもない男だな」
俺は低音で殺気を込めてミナトに言い放つ。
どうせ殺せないとでも思っていたのだろう。
俺が本気で殺すつもりでいる事を感じて、怯え始めたミナト。
「ちょ、ちょっと待て、見逃してくれ。謝るから、なぁ、頼むよぉ。おい、助けてくれよぉ。命だけは、なぁ」
「俺の父親も命乞いしたんだろう?」
「くっ……」
無言で俺を睨むミナト。
ミナトの目と鼻と口から血が流れて、封印を解いたミナトの身体は崩れる様に倒れた……。
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新作投稿しました。
7/28 23:00に第1話をスタートしました。こちらもご愛読いただけたら嬉しいです。
タイトルは、
『モブキャラ異世界転生記~モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです~』
URLは
https://kakuyomu.jp/works/1177354054917461172
です。
宜しくお願い致します。
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