第98話 黒の群盗の砦にて
ミナトとアオイとヒマリは、『風月の戦乙女』達とメイを徐々に追い詰めていく。
「がっはっは、どうしたぁ? 後がねえぞ」
ミナトは素手で構えて、余裕で笑う。
「魔法を使わなくても、あんたらに負けるほど落ちぶれちゃいないのよぉ」
アオイは杖でマナミを突き放した。
「この場所にいた不運を呪うのね」
ヒマリはワカナの剣撃を躱し、弓でワカナの顔を打ち付けた。
ミナトを中心にアオイとヒマリが両脇に並び立ち、『風月の戦乙女』とメイは崖に追い込まれていた。後一歩下がると崖から落ちる位置にいるミウ。
「拙いわ」
足元を見て、怯えるミウ。
「はっはっは、死んどけぇ」
ミナト、アオイ、ヒマリは同時に跳び上がり攻撃を仕掛けた。
絶体絶命の『風月の戦乙女』とメイ。
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少し前に遡る。
俺とクロドは砦の中を進むと、ベーマタ騎士団長が現れた。周りの騎士は、ベーマタ騎士団長の指示で土蜘蛛の討伐と解体を行っていた。
「ユウマ! やっぱり君の力だったんだなぁ。助かったよ。」
「ベーマタ騎士団長、ご無沙汰しています。この砦でミナト達は見ませんでしたか?」
「ミナト! あいつらもここにいるのか? まさか、黒の群盗と関わりがあるのか?」
ベーマタさんは、ミナト達を見ていない様だ。するとミナト達は砦から逃げたか?
「どうやら、ミナト達は見かけていない様ですね。それでは、俺は用事がありますので、失礼します」
俺はそう言うと、ベーマタ騎士団長の横を通って砦の奥に進む。
「ちょっと待て、事情を説明してくれ」
ベーマタ騎士団長は俺の背中に声を掛けるが。
「一刻を争うので、お断りします」
俺は振り返らず先へ進んだ。
「おい! 待て、お前何者だぁ!」
砦の奥から現れた男が斧を担いで俺の前に立ち塞がった。後ろには、それぞれ、一目見て猛者と分かる男達が怪訝な顔で俺を見ている。
「Cランク冒険者のユウマです」
俺は歩みを止めず、男の横を通り過ぎようとした。
「俺はAランク冒険者パーティー『豪勇の斧』のフドウだ。聞きたい事がある。ちょっと止まれぇ!」
フドウは俺の前に回り込み睨むが、俺とクロドはその横を無言で通り抜ける。
「おい! Cランク冒険者風情がリーダーを無視するとは、いい度胸だなぁ」
男が俺の腕を掴もうとしたので封印した。俺の腕を掴む寸前の動作で固まる男。
「テツワン! どうした? おい、お前テツワンに何をしたぁ!」
テツワンの横にいた男が俺の背中の襟を掴もうと飛び掛かって来たので、その男も封印した。
「おい、テツワンとカイリキが何故動かない! お前は何者だ。」
俺はミナト達を探す為、空間把握を砦外に広げているので、フドウ達の言葉を良く聞いていなかった。
結局『豪勇の斧』の探索者タンチを除く4人を俺は封印した。
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