第88話 出撃前

『豪勇の斧』が都市に戻って来て、冒険者ギルドに行った。


冒険者ギルドの会議室に関係者が勢揃いしている。


集まったメンバーは、騎士団長ベーマタと

ギルド長のソウマの二人に、『黒紅の無頼』からリーダーのショウゴと探索者のリュウセイ、魔法使いのココナ、剣士のシュンスケ、回復士のホノカの5人。


『豪勇の斧』からリーダーのフドウとドワーフのテツワン、カイリキ、コンゴーとウェアウルフのタンチの5人。


「『黒の群盗』のアジトの場所が分かったぞ」

と遅れて会議室に入ったフドウが、疲れた表情で口を開いた。


「おお! それは良い知らせだ、その割には、浮かない表情だが、どうした? 疲れているだけか?」

ギルド長のソウマが笑みを浮かべた。


「あぁ、疲れてはいるが、それだけじゃない。エーダイ商会の馬車が奴らに教われていた。俺達が駆け付けた時には既に全滅していて、馬車も強奪されていた。」


「そうかぁ、エーダイ商会の馬車がなぁ。この調子では、この都市は衰退してしまう。早めの討伐が必要だなぁ。ベーマタさん、最速でいつ出撃出来る?」


とギルド長の言葉にベーマタ騎士団長も口を開く。


「明日の朝一で出撃しよう」


「分かった」

「良いだろう」

ショウゴとフドウも了承した。


「Cランク以上の冒険者達にも集合を掛けよう。『黒の群盗』を殲滅するのだ」


ーーーーーーーーーーーーーーーー


黒の群盗のアジト。


「ミナト、また顔ばれしてたでしょう」

魔法使いアオイが、剣士ミナトに言う。


「おう、有名人はツラいよぉ」

満更でもない顔のミナト。


「そうじゃなくって、焔の剣が黒の群盗を率いているってバレたら、色々まずいんじゃないの? だから目撃者は皆殺しにしてるんでしょ?」


「まあ、何が拙いか良く分かってねぇが、盗賊って言うのはちょっと外聞が悪いからよ」


「まあ、落ちぶれた感はあるよね」


「そうよなぁ。Sランク冒険者になった時は、村中大騒ぎだったからなぁ、こうなったのも全部ユウマの所為だ」


「まあ、それは置いておいて、これよ! これを見て! じゃじゃーん!」


「何だそりゃ?」


「お面よ、お面、今日奪った商品の中にあったの」


鬼、狐、猫、狼等のお面をテーブルの上に広げたアオイ。


「私はこれをつけるわ!」

アオイが手に取ったのは黒猫の口から上のお面。


「『黒の群盗』って言うくらいだから、黒いお面じゃ無いとね」

アオイは黒猫のお面を着けた。


「良いかもな。格好いいぜ。俺はこれだな。ヒマリ、これを着けろ!」

ミナトは黒鬼のお面を着けて、端で黄昏ているヒマリに黒狐のお面を放り投げた。


ヒマリは黒狐のお面を受け取り繁々とお面を見る。


「はぁ、顔を隠してないと、やってられないわね」

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