第85話 村長トメキチの咎
俺は村人達を封印した。勿論、ユイナとその父親の村長、ミナトの父親ミナオも封印しているが、聞きたい事があったので、3人は会話出来るように封印している。
村人達は煩そうだったので、話は出来ない様にしている。
「か、身体が動かない! ユウマ、私に何をしたの? いやらしい事をする気ね!」
「しねえよ! ユイナ、ミナト達も国内にいるのか?」
「何処に行ったかなんて知らないわよ。村の生活はつまらねぇと言って出ていったわ」
「ふーん、ミナオじいさん、ミナト達は何処にいる!」
「し、知らねえよ……」
「その顔は知ってる様だね。ミナトとそっくりで嘘が下手過ぎだよ。あまりやりたくないけど、言わないと痛い目に合わせるよ」
「痛い目って何だよぉ……」
「例えば、大剣が二度と振れないように腕を消す。歩けないように足を消す。どっちがいい?」
「ど、どっちもイヤだぁ!」
「じゃあ、10数える間に喋りな。10、9、8、7」
「冗談だろ?」
「6、5、4」
「言う、言う、言うから」
「3、2」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ……」
「1、0」
俺はミナオの両腕の骨を亜空間に収納して封印を解いた。
「あああああああああ! う、うでがぁ! ひん、言うって言ったじゃねぇかぁ……、ひでぇよぉ、うぅ……」
「10数える間に言わなかっただろう。次は足だ。10、9」
「あああ、盗賊だ! 盗賊になって北の山にいるはずだ」
「そうか。じゃあ、後は用はないな」
「おい、おいおい、おいおいおい。俺を殺す気かぁ。助けてくれぇ。なぁ、頼むよぉ……、そうだ! 秘密の話を教えるからよぉ」
「秘密の話?」
「ユウマの母親が死んだ真相さ」
「おい! ミナオ、裏切るのか! ユウマ、ミナオは嘘つきだ騙されるなぁ!」
急に村長が慌てて騒ぎ出した。
「何だ? 何の話だ。村長煩いなぁ」
俺は村長の口を封印した。
「ユウマの母親ユリコが病気で死んだのも、父親のハルキチが足を怪我したのも、村長のトメキチが仕組んだ事だ」
「は? どういう事だ?」
「ユリコに昔から惚れてた村長が、愛人にしたくてちょっかいをかけていた。ハルキチを病気で殺すつもりだったが、ハルキチに飲ませるはずの毒薬を、ユリコが飲んじまったんだ」
「え? 母も村長が殺したのか!」
「ナニソレ? キモいんだけどぉ!」
ユイナは村長を軽蔑の眼差しで見た。
「ハルキチの足の怪我も村八分も、村長が仕組んだ。村八分にしたハルキチが、足を怪我して不幸になるのを影で笑って楽しんでたんだ」
そして、最後には苦痛を与えて殺したのか!
父も母も……。
村長の口の封印を解いた。
「村長、何か言う事はあるか?」
「嘘だあああ! ミナオは嘘をついている。ハルキチの足をやったのはミナオだぞぉ! そして毒を作ったのはアオナだぁ!」
トメキチは大声で喚く。
「トメキチ! お前が望んだ事だぁ!」
ミナオもトメキチに負けずに大声を出す。
罪をなすり合う2人を村人達が呆れた目で見ていた。
醜い、こんなクズ達に俺の両親は……。
俺はミナオの脳を収納した。
目と鼻と口から血が流れ崩れ落ちるミナオ。
ドタッ!
ミナオの死体を目の前で見たトメキチは顔色が真っ青になり、恐怖で震えて滝のように汗が流れる。
「ひぃ、助けてくれぇ。何でもする。金もやる。何でも差し出す。ユイナもやる。なぁ、いいだろう。お願いだ。謝る。申し訳なかった。命だけは、なぁ、助けてくれぇ。」
早口で捲し立てる様に命乞いをするトメキチ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます