第84話 焔の剣の親達2
「ちっ」
向かいの家の屋根の上にいたヒマリの父親が、俺が炎の中から無傷で現れると、舌打ちして逃走しようとしていた。
俺はヒマリの父親の脳を、亜空間に収納した。ヒマリの父親は目、鼻、口から血を流し、態勢を崩すと屋根から落ちた。
ドサッ!
後ろにいた村人が数人、物音に気付き様子を見に行く。
「うわああああ! ヒマルが顔から血を流して死んでる!」
「狩人のヒマルが屋根から落ちるなんて、信じらんねぇ」
元焔の剣の弓使いヒマリの父親であるヒマルの死体を見て恐怖に怯える村人。
「ひぇええええ」
「逃げろぉおおおお」
「ひゃああああ」
後退りした村人が数人、逃げ出す。
しかし、亜空間のバリアを作成し村人が逃げられないようにしていた。
ゴンッ!
「なんだこりゃああああ」
「先へ進めねぇ」
「逃げらんねぇ」
亜空間のバリアに手を押し付け、前に進もうとするが、びくともしない。
「くっ、儂らをどうする気だ」
村長はその様子を見て俺を睨む。
「ユウマぁ! あんたが何かしてるのね! 私達を解放しなさい!」
元焔の剣の回復士ユイナは、胸を張り上から目線で俺に命令する。
魔法使いアオイの母親は何やら詠唱を始めていた。
魔力がアオイの母親を包む。
アオイの母親の脳も亜空間に収納した。
「影よ我を約束の地へ運べ!シャドー──」
ドサッ!
アオイの母親は詠唱の途中で目、鼻、口から血を流し倒れた。
明らかに転移系の魔法を使って、
隣にいたアオイの母親であるアオナの死に様を見て、急に怖くなったユイナは俺に叫ぶ。
「アオナ婆さんに何をしたのぉ!」
無言で村人達を眺める俺。
村の守護していた2人の死を目撃し、恐怖で震える村人達。
「ヒマルとアオナが死んじまっただ」
「この村はおわりだぁ」
「ひぃいいい」
「お前の父親を殺した儂らを、領主の元に突き出すがいい」
村長が俺に言う。
「ははは、その手には乗らないよ。どうせ口裏を合わせて、俺を犯罪者に仕立て上げるつもりだろう? 役人は一介の冒険者の俺よりは、毎年賄賂を渡す村長の言葉を信じるだろう」
「ちっ、だったらどうする? お前が儂ら全員を殺す気か?」
突然横から影が飛び出す!
大剣を横に払い俺の首を斬ろうとする男、ミナトの父親ミナオ。
空間把握でミナオが潜んでいたのは、分かってたからね。
俺はミナオの大剣を亜空間に収納した。
スカッ……。
空を斬る。
「なにぃ! け、剣が無くなりやがったぁ?」
急に大剣が無くなり、バランスを崩したミナオに蹴りを入れた。
ドゴッ!
「ぐふっ」
蹴り飛ばされたミナオ。
「チクショー、何が何だかわかんねえ。おい、その斧を貸せ」
「お、おう、分かった」
転がった先にいた村人から、斧を借りたミナオが、斧を持って身構えた。
「無駄だよ」
俺はミナオを含めて、村人達全員が持つ武器を亜空間に収納した。
「え? 武器が無くなった!」
「なんだぁこりゃ?」
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