第72話 アラクネ

俺はブラックドッグのクロドと、ベーマタ騎士団長とアスカが『蜘蛛の牙』を蹂躙している場所へ歩いて来た。


「やっと来たか」

とベーマタ騎士団長が突き刺した槍を抜いている。


「覚悟を決めた様だなワン」

敵を剣ごと踏み潰し俺を抜いている見るクロド。


「ああ、敵は躊躇なく殺す」

俺は近くで這って逃げようとしている男の、首から上を封印してズラした。


封印を解除すると、男の首が転がる。


「遅いよぉ! もう直ぐ終わっちゃうしぃ!」


とアスカが斬り終わり剣を構えている。


このホールには息をしている敵は少なくなっていた。


「地下に沢山の蜘蛛が湧いてるよ」

と俺がアスカがに言うと。


「マジかぁ! 1番は貰ったぁ! 撃滅剣!」

アスカが床に大剣を叩きつけた。


ドガッ!!!


これって、ギルドを破壊したヤツだ。

床が砕けて大きな穴が空いた。


穴の中にモンスターの土蜘蛛が蠢く。


「お先ぃ!」

アスカが躊躇なく穴に飛び降りた。


「ちっ、馬鹿娘が状況くらい確認せんか」

ベーマタ騎士団長は穴の中を覗く。


その時、床が振動した。


「確認する暇は無いみたいだワン」

クロドの言葉の直ぐ後で、ホールの床が1部崩れ落ちた。


俺とクロドとベーマタ騎士団長が立っていた床が無くなる。


ガラガラガラ!ドゴン!


俺は咄嗟に、俺とクロドの足下に亜空間を展開した。


「うぉ!」

声を出して、瓦礫と一緒に地下に落ちるベーマタ騎士団長。それを上から見る俺とクロド。


土蜘蛛達には、落ちた瓦礫によるダメージは全くない様で、瓦礫を押し上げて土蜘蛛達が這い出て来た。


アスカも瓦礫の影響は無く、大剣を振り回し、瓦礫ごと土蜘蛛を斬り払っていた。


ベーマタ騎士団長は落ちた時に、土蜘蛛の頭を突き刺し、槍を引き抜くと直ぐに振り回し、周りの土蜘蛛達を叩き飛ばした。


俺は瓦礫から這いだし地下に蠢く土蜘蛛達の、魔石を全て亜空間に収納した。


一気に倒れる土蜘蛛達。


「え? 何だか蜘蛛達が死んだんだけどぉ。何かしたぁ?」


俺は地下から俺を見上げるアスカを無視して、生き残った人達は封印した。色々聞かないとダメでしょう。


「ベーマタ騎士団長!生きてる人は、動かなくしたので、外で包囲している騎士に、連行させてください。」


「おお! ありがとう。過去の犯罪や背後の黒幕を尋問しなきゃな」


地下から、崩れ落ちなかった1階ホールの床に、飛び上がって来たベーマタ騎士団長。


「ちょっとぉ、返事ぐらいしなさいよぉ!」


アスカも跳躍し、1階ホールの床に飛び上がって来た。


俺の後ろから女の声がして、振り向く。天井に張り付いている女がいた。


「よくも部下達を殺してくれたわね」


俺達4人の目線に天井からずり落ちて来る女。天井に糸を貼り付け、器用に糸を操り頭を逆さまにして、ずり落ちて来た女の下半身は蜘蛛だった。


「アラクネぇ!」


アスカが跳躍し、アラクネの首を刎ねようと大剣を横に払った。アラクネは飛んで大剣を躱し宙に浮く。


「騎士団と冒険者か? くっ! こんなに簡単に罠を食い破られるとは、思ってなかったぞ」


よく見るとアラクネは、天井や壁に蜘蛛の糸を張り巡らせており、蜘蛛の糸の上に立っている。


アスカは空中で身を翻し、壁を蹴ってホールの床に飛び降りた。

大剣を構え身構えるアスカ。


「アラクネだワン」

クロドは身を屈め、肉食獣が獲物を狙う様に、何時でも飛び掛かれる体勢でアラクネを睨む。


「モンスターが街中に巣くっているとはな。」

ベーマタ騎士団長は槍を構えて、隙を窺う。


俺は亜空間を身に纏い、平然とアラクネを見ている。

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