第70話 会議

翌日、俺とブラックドッグのクロドが冒険者ギルドに来ると、一部崩壊したギルドの建屋があった。


昨日のアスカの剣撃で壊れたんだよねぇ。朝見るとはっきり見えるが、悲惨な事になってる。スパっと斬れたのではなく、その剣撃の方向が破壊された感じだ。


流石、腐ってもSランク冒険者のアスカだ。馬鹿力はあるんだよなぁ。


「こんな一撃喰らったら普通死ぬよねぇ」


「死ぬワン」


なんて話をしていると、肩を叩かれて振り向くと、俺の後ろにベーマタ騎士団長と騎士団の人達がいた。


「お早う、ユウマ、一体何があった?」


ギルドの建屋を見て驚いているベーマタ騎士団長。


「アスカがやったんですよ」


「成る程ぉ~、はぁ、またかぁ」


ガッカリしているが、納得している様子のベーマタ騎士団長。


「前にもあったんですか?」


「何度もあったよ」


「え? よく捕まったり、降格されたりしませんねぇ。犯罪奴隷になっても、おかしくないのではないですか?」


「この国の最高戦力の一角だからなぁ。倒すならそれなりの損害を想定して、全力で完璧にやらないといけないのだ。逃げられて他国に行ったり、悪の組織に入られたら厄介だ。それより煽てて色々やって貰った方が、国としては都合がいいのだよ」


「何だか納得しかねますねぇ。俺が捕まえましょうか?」


「ふふふ、いざとなったらお願いするかも知れんなぁ。」


「あああああ! ユウマァ!」


アスカの大声聞こえた。


「おう、お早う」


俺は駆け寄ってくるアスカを見た。


「昨日大変だったんだからぁ! ユウマのせいでキラーデュラハーンの報酬を、修理費用で取られちゃったよー! 半分出してよぉ!」


「はぁ、自業自得でしょ、自己責任で行動しなさい」


「むむむ」


「ははは、ユウマとアスカは仲が良いなぁ、いっそ、パーティーを組んでみたらどうだ?」


「そう! それよぉ!」


アスカは乗り気なのか? 勘弁してよ。


「はぁ、もうその話はしないでください。その結果がこの惨状です」


「え! そうだったのかぁ。まあ、冗談は置いておいて、『蜘蛛の牙』討伐の話をしよう。」


冗談? ……かねぇ。


そう言って冒険者ギルドに入るベーマタ騎士団長。後に続く俺とクロドとアスカ。


執務室は半壊したので、無事だった会議室で会議を行った。


参加者は俺とクロド、アスカ、ベーマタ騎士団長、ギルド長の5人。


机の上にこの都市の地図を広げて、空間把握で改めて確認した拠点を教える。


ん? シミツコ商会の地下にも『蜘蛛の牙』のメンバーが大勢いるぞ!


その事を説明すると……。


「何! やっぱりかぁ。俺が赴任してきたら、何かと探りを入れて来たんだ。」


ベーマタ騎士団長が呟く。


拠点制圧した後、シミツコ商会制圧の流れで動く事として、拠点と商会の周りを騎士団が囲んで、逃げられない様にして、ベーマタ騎士団長とアスカが乗り込む事になったが。


「ユウマとクロドも一緒に乗り込んだらどうだ?」


とのベーマタ騎士団長の言葉と。


「一緒に制圧するなら、成功すればBランク昇格だな。」


とギルド長の言葉もあり、俺とクロドも乗り込む事になった。


「よーし、ギッタンギッタンにしてやるわ!   ワタシは『英雄』になる女よぉ!!!」


この女、大丈夫かぁ?

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