第37話 Bランク冒険者レオ

ダンジョン『魔獣の窟』のオークエリアにて、冒険者パーティー『風月の戦乙女』の5人が、冒険者の男達に襲われていた。


元『烈風の戦士』のアユムが、縄で縛られている『風月の戦乙女』のミウに抱きつこうとしたら・・・。


「あんた、臭いのよぉ!もげろぉ!」


ドゴッ!


ミウがアユムの股間に蹴りを入れた。


「痛っ!このクソアマぁ!しょうがねえだろ、この前からこの臭いがして、風呂に入っても取れねえんだ」


確かにアユムは臭い。

何だか嗅いだことのある臭いだ。


「がははは、確かにアユムは臭くなった。しかし、この臭いがあるとモンスターが寄って来ないんだ。モンスターと向かい合っても、怯えるから楽に狩れる」


モンスターが寄って来ない?


・・・。


俺はブラックドッグのクロドを見る。


「儂の小便だワン。後2日は臭いがあるワン」


クロドが小声で教えてくれた。


やっぱり・・・。


「良し!カノンは俺が貰った!」


ジャンケンで勝った男が、カノンに近寄る。アユムがミユに急所をけられたのを見てたので、正面を避けて横から回り込もうとするが、男の動きに合わせてカノンも身体を動かし、男と正対する。


「げひひ、諦めろぉ!カノン!」


バシッ!


男は傷付いているカノンの足を蹴飛ばした。


これはもうゲス野郎確定だ。

助けないと。遅いくらいか。


男はカノンさんにのし掛かり、服を破こうとしていた。


俺はクロドを置いて空間移動で、男の後ろに移動して、拳を強く握り前腕で、後頭部を強かに打ち付けた。


ドガッ!


「ぐひぃ!」


レベルが上がってるので、それなりに強力な威力になってるはずだ。


白目になって、泡を吹く男。


「誰だぁ!てめぇ!」

冒険者の男達が、ドスの効いた声で叫ぶ。


俺は亜空間からナイフを取り出して、カノンさんの縄を切り、カノンさんにナイフを渡す。


「カノンさん、これで皆の縄を切ってください」


ちょっと涙ぐむカノンさん。

「あ!有難う。ユウマくん」


そして冒険者達の方を振り向いた。

「何て事をしてるんだぁ!」


俺の顔を見て驚き叫ぶアユム。

「てめぇ!ユウマぁ!」


男達は武器を抜いて構える。


「俺はBランク冒険者のレオだ。黒犬と一緒にいるEランク冒険者のユウマだな。どうしたぁ、震えてるんじゃねえのかぁ。人と戦うのは、初めてなんだろう?」


「くくく、ビビってやがるぜ」

「げひひ、上位ランクの実力を思い知らせてやる」


「ユウマぁあああああ!仲間達の仇を取らせて貰うぞぉおおおおお!モンスターは狩れても、人は狩れねぇだろうよおおおお!」


アユムが剣を振りかぶり、ジグザグに走りながら迫る。


レオともう1人の男が、アユムとは別方向から、同じくジグザグに走りながら迫る。


もう1人の男は弓を構えて俺を狙う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃の『焔の剣』の4人は、ダンジョン『亡霊洞窟』で、また別の冒険者達を見つけた。


「ふふふ、また、獲物の冒険者達がいたぞ」


唇を歪め目を細めて、前を歩く冒険者達を見詰めるミナト。


「また殺しちゃうおうか?食料をいっぱい持ってるといいなぁ」

ユイナは歪な笑いを浮かべる。


「そうね、弓使いもいるみたい出し、予備の矢も奪っておきたいわ」

と弓使いのヒマリ。


「お金をもってるかなぁ?」

と魔法使いアオイ。

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