第36話 危機一髪、風月の戦乙女

俺はブラックドッグのクロドに乗って、ダンジョン『魔獣の窟』を上層に向かって入口を目指す。


そう言えば、オルトロスとダンジョンボスのゲリュオンを倒して、レベルが凄く上がったんだよねぇ。


空間魔法のレベルもあがったのだ。


こんな感じになりました。


名前:ユウマ

種族:人族 (転生者)

年齢:18才

性別:男

レベル:32

空間魔法 LV7

├ 空間収納(中)

├ 空間把握(大)Up

├ 封印

├ 亜空間作成

└ 空間移動(中)Up


【空間把握(大)】

現在自分がいるエリアが属する一定の範囲の空間を把握出来る。


ダンジョン内の全てを把握出来る様になりました。


ダンジョンの外に出たら、どうなるんだろう。後日要確認だな。


【空間移動(中)】

現在自分がいるエリア内に移動出来る。


ダンジョンの今いる階の、何処でも行ける。


このスキルもダンジョンの外に出たら、どうなるのか要確認です。


と言う訳で、上の階に着いたら次の階段の場所まで空間移動しちゃうので、あっと言う間なのです。


でも、到着した階のモンスター達の動向の確認や、モンスターに襲われている冒険者がいないかを、上の階に着いた時に確認もしてるので、それなりに時間は掛かってます。


オークが出現するエリアに到達したとき、冒険者パーティー『風月の戦乙女』の人達を確認した。


でも、なんかおかしい?


10人ぐらい、休憩場所じゃ無いところで固まって動かない。


モンスターと戦闘していないのに、動かないって、何かあったのだろうか?


俺は空間移動で、念の為10人が固まっている場所から、ちょっと離れた場所に移動した。


そこには、怪我をして縄で縛られてる『風月の戦乙女』の5人と、その5人を囲む男だけの冒険者パーティーがいた。


しかも男だけの冒険者パーティーの1人は、ミウさんを見捨てた『烈風の戦士』のアユムだ。


「へへへ、ミウ、俺達を捨てて逃げやがった報いを受けるんだ」


「な、何を言ってるのよぉ!私を見捨てようとしたのは、アユムでしょ!」


「煩い、煩い、うるさあああああい!俺の気持ちを知ってた癖に、断りやがって」


「はぁ!キモい。振られた事も根に持ってるのぉ!」


「へへへ、何とでも言え、もう逃げられないぜ。ミウは俺が貰う事で話がついてるんだよ。ハァ、ハァ、ハァ」


「くっ、皆ごめんなさい、私のせいで・・・」


「そんな事無いわ。他の男達は、私達に言い寄って来たので、振った冒険者達だわ。本当にキモいよ」


『風月の戦乙女』のリーダーであるカノンは悔しそうな表情で、口から血を流していた。


「ひひひ、ここで犯して殺しても、オークにやられたと思うだろうよ。荷物と金は俺達が有効利用してやるから、安心しろ。いっひっひ」


冒険者はカノンに手を出そうとしたが、仲間に止められる。


「待て待て、始めに誰が誰を選ぶか、ジャンケンだ。いっひっひ。俺もカノンとしたいぞ。ぐひひ」


アユムを除く4人はジャンケンを始めた。


俺は冒険者達の様子を見ていたが、この状況って、そう言う事だよね。


俺は眉を顰めて拳を握り締め、怒りがこみ上げてきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、『焔の剣』はダンジョン『亡霊洞窟』で、また迷っていた。


「ちっ、また行き止まりだ」

剣士ミナトは落ちてる石を蹴飛ばす。


「もう、ここ何処よぉ!」

弓使いヒマリは殺した冒険者から奪った地図を見るが、頭を捻るばかり。


「行き止まりは5つだからぁ。ここかなぁ」

魔法使いアオイはヒマリの脇から地図を見て指を指す。


回復士ユイナは奪った食料をモグモグ食べながら、その様子を見ていた。

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