第35話 強盗をする焔の剣

ダンジョン『亡霊洞窟』を進む、Aランク冒険者パーティー『焔の剣』の4人。


その前をCランク冒険者パーティー『水竜の爪』の4人が歩いていた。


タッタッタッタ。


『水竜の爪』の冒険者達に駆け寄る剣士ミナトと回復士ユイナ。


「ん、誰?」

ミナトの足音に振り返る冒険者達。


ドカッ!!


「んぐっ」


ミナトは無言でいきなり、1人の冒険者を蹴り飛ばした後、素速く踏み込んで転んだ男の腰の剣を奪って抜いた。


「あっはっはぁ!死ねえええええ!」


ブシュッ!


ミナトは仰向けに倒れた冒険者を足で踏み押さえ、奪った剣で冒険者の胸を刺した。


「いい剣じゃねぇかぁ!」


ミナトは剣を冒険者から引き抜くと、残りの3人の冒険者をジロリと見た。


「な、何を・・・」

「だ、誰だ!」

「ひぃ」


冒険者達は震えながら武器を構えた。


「食べ物をちょぅだい!」


いつの間にか冒険者達の横に移動していたユイナが、杖を両手で持って振り回し、1人の冒険者の後頭部にぶち当てた。


バゴンッ!!!


前のめりに倒れる冒険者。

倒れた冒険者とユイナの方を振り向く2人。


ミナトはその隙を逃さず踏み込み、剣を両手で横に振り抜いた。


ブンッ、ズバシッ!!!


2人の身長はほぼ同じで、ミナトの剣は1人の首を刎ねて、もう1人の首の途中で止まる。


ミナトは冒険者を蹴飛ばして剣を抜くと、ユイナに叩かれて前めりに倒れて呻く冒険者の、背中から心臓に剣を突き刺した。


ズシュッ!!!


「ぐふっ・・・」


4人の冒険者達の死体が横たわる。


弓使いヒマリと魔法使いアオイが駆けて来て絶句する。


「ちょ、ちょっと・・・」

「何で・・・」


「くくく、ユウマとリュウセイを見殺しにしたんだ。今更、きれい事を言うなよ。お前等も共犯者だ、一蓮托生だぞ」


「そうよ!このままでは、私達がこのダンジョンを生きて出られるかも怪しいわ。食料も武器も野営道具も失ったのよ、生き残るには奪うしか無いわよね。ねぇ、ヒマリ!」


ユイナがヒマリに叫ぶ。


「そ、そうね・・・」


アイテムバッグをリュウセイに渡してしまったヒマリは、震えながらも同意するしか無い。


「だったら、早めに荷物と武器を奪って、ここを離れましょう」


開き直ったアオイは、冒険者達の荷物を物色する。


「そうそう。見つからなきゃ何とでも出来るさ」


ミナトも冒険者達の死体から、荷物と武器を剥ぎ取っていく。


「・・・」


ヒマリも無言で冒険者の1人から矢筒を奪った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃俺ユウマは、ブラックドッグのクロドに乗って、ダンジョン『魔獣の窟』の最下層から上層に向かって走っていた。


「素材を大量ゲットだね!」


「食事が楽しみだワン」


ゲリュオンとオルトロスを倒して、レベルが上がって、空間魔法レベルも上がった俺達は、来た時よりかなり早い時間で進んでいる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


【作者から一言】


空間魔法のスキルUpの詳細は、次回説明致します。

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