第33話 ゲリュオンと戦った

ダンジョン『魔獣の窟』の最下層である地下30階に到達した、俺ユウマとブラックドッグのクロド。


29階の階段を降りると、鋼鉄製と思われる巨大な扉が目の前に見えた。


「ユウマ、オルトロスは儂に任せておけワン」

とクロドから珍しくお願いされた。


「分かった。だけど危なくなったら介入するよ」


「いや、ユウマにはゲリュオンを任せるワン」


「ゲリュオン?」


「オルトロスの飼い主だワン」


「オルトロスがボスじゃ無いんだ」


俺が巨大な鋼鉄の扉に触ると、扉はゆっくりと開いた。


ギギィイイイイ・・・。


俺達は中に入ると、そこは広いホールの様になっていた。


天井が光っており中は明るい。


奥が一段高くなっており、そこにオルトロスが目を閉じて伏せていた。


オルトロスは双頭の巨大な黒犬だ。


俺達が1歩前に進むと、オルトロスが4つの目を開けて、赤く燃えるような瞳が俺達を睨み、身構えた。


「グルルル・・・」


ギギィ・・・。バタンッ!


入ってきた扉が閉まる。


うん。ボス戦らしくなってきた。

ボスを倒すまで出られないって訳ね。


オルトロスの後ろに何者かが出現した。


顔が3つ、腕が6本、足も6本なのに、身体はひとつの男。


「我はゲリュオンだ。ここまで人が来たのは、久しぶりだのぅ。さあ、試練を受けて貰おうかぁ!」


此奴がゲリュオンか。化け物だな。


俺は亜空間をバリアの様に張って、様子を見る。


ヒュッ!


オルトロスの姿が消えると目の前まで、大口を開けて飛び掛かって来ていた。


ドゴッ!


そのオルトロスのひとつの首を、クロドが横から噛み付き、横に飛ばす。


「うがぁうおおおおお!」


オルトロスが意味不明な叫び声を上げて、首を振りクロドを振り飛ばす。


飛び退いたクロドが身構えると、オルトロスが飛び掛かる。


クロドが躱す。


2匹の黒犬は目にも止まらぬスピードで、高速の戦闘を始めた。


「余所見してても良いのかなぁ!」


ガツッ!!


いつの間にかゲリュオンが手にした剣を、俺に振り降ろしていた。


しかしその剣を亜空間が阻む。


「うぬ。何だ!」


俺はゲリュオンの体内の空間を把握し、魔石の位置を探る。


ゲリュオンは空間把握された事を認識したのか、本能なのか知らないが、飛び退くと同時に姿を変えた。


蛇の顔と身体に4本の野獣の足、2本の蠍の尻尾の巨大な姿に変わり、蛇の口から先端が二つに分かれた舌をチロチロ出している。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃、ダンジョン『亡霊洞窟』にいる『焔の剣』の4人は、リュウセイを残して、キラーデュラハーンから必死に逃げて遠ざかっていた。


「はぁ、はぁ、何とか逃げ延びたな」と剣士ミナト。


「危なかったねぇ」

と魔法使いアオイ。


「ミナト、臭いよぉ」

と回復士ユイナ。


「あ!アイテムバッグをリュウセイさんに預けたままだった!」

弓使いのヒマリが突然思い出す。

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