第32話 キラーデュラハーンと戦った

ダンジョン『亡霊洞窟』にいる『焔の剣』とリュウセイの前に、洞窟の奥より特殊個体のキラーデュラハーンが現れた。


カシャン、カシャン、カシャン、カシャン、カシャン、カシャン・・・。


漆黒のフルプレートアーマーに身を包み、右手にモーニングスターを、左手に盾を持ち、首の無い騎士がゆっくりと歩いて来た。


モーニングスターは、刺突き鉄球と金属製の柄を鎖で繋ぐフレイル型だ。


通常のデュラハーンは剣を装備しているが、キラーデュラハーンはモーニングスターで相手を叩き潰すのだ。


「死ねええええええ!」


剣士ミナトがスケルトンを叩き斬り、ゾンビとグールを斬りまくりボロボロになった剣を振り上げ、キラーデュラハーンに飛び掛かった。


ガッキイイイン!!!


キラーデュラハーンは盾でミナトの剣を受け飛ばす。


ボロボロの剣が根元より折れ飛ぶ。


そして、右手のモーニングスターが唸り、ミナトを襲う。


「ちぃ」


ゴロゴロゴロ・・・。


ミナトは、キラーデュラハーンのシールドバッシュで体勢を崩していたので、後ろに転がりながら鉄球を躱し、片膝を付いて起き上がった。


ドカッ!ズシャッ!!ビチャッ!


鉄球はグールの死骸を潰し飛ばし、グールの腐った血肉がミナトに降りかかる。


「きゃああああ!」

「いやああああ!」

「くっさああああい!」


魔法使いアオイ、弓使いヒマリ、回復士ユイナは飛び退いた。


リュウセイは女性3人の前で、黒い刃のナイフを持ち身構えた。


「魔力が無いし・・・」とアオイ。

「矢も無いし・・・」とヒマリ。

「臭いし・・・」とユイナ。


「「逃げるよぉ!」」

とアオイとヒマリ。


ヒマリはリュウセイの腕を引いて、逃げ出す。


「臭いの嫌い!」


ドカッ!


ユイナはミナトの背を蹴飛ばして、逃げ出した。


グシャッ!


「ぶへっ、おいおい!」


グールの死骸に顔から突っ込み、両手を付いて起き上がるミナト。


ミナトが顔を上げると、キラーデュラハーンの刺突き鉄球が迫る。


「くっ、あぶねぇ!」


転がりながら鉄球を躱し、身体中がグールの腐った血肉にまみれるミナト。


ミナトは素速く起き上がると、刃が折れた剣をキラーデュラハーンに投げつけ、アオイたちを追って走り出す。


「これでも喰らえ!」


カキイイイン!!


キラーデュラハーンは避けようともせず、折れた剣は鎧に当たり跳ね飛ぶ。


そして、ミナトを待っていたリュウセイとアオイ、ヒマリに追い付くとリュウセイの腕を掴む。


「てめぇが囮になりやがれぇええ!」


リュウセイの腕を引き、腹にパンチを入れてキラーデュラハーンに突き飛ばした。


ボスッ!


「ぐふっ」


リュウセイに迫るキラーデュラハーンの鉄球。


ドカッ!グシャッ!


リュウセイは鉄球を躱し、目を細めキラーデュラハーンと向かい合う。


キラーデュラハーンはモーニングスターの鉄球を振り回し、リュウセイに何度も鉄球を振り降ろす。


ドカッ!ドカッ!ドカッ・・・。


鉄球を躱しながら唇を歪めて、キラーデュラハーンを睨むリュウセイ。


その隙にミナト達は逃げ出した。


「あっはっは、後は任せたぞ!」

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