第30話 アイテムバッグ

ダンジョン『亡霊洞窟』を進む二つ名『闇の探索者』リュウセイ。


その後ろをブツブツ言いながらついていく冒険者パーティー『焔の剣』リーダーの剣士ミナト。


「くそっ。あの野郎干し肉一切れでボリやがって」


「本当に人生最高額の干し肉になったわ」とアオイ。


「お腹空いたよぉ」とユイナ。


『焔の剣』の他のメンバーである、魔法使いのアオイと回復士ユイナも、干し肉一切れを購入したことについては不満を持ち、ミナトに同意していた。


弓使いのヒマリはどっちつかずで、リュウセイとミナトの間を俯き歩く。


リュウセイは食糧が無い事から、撤退を主張したが、ミナト達はこのまま帰ると前回に引き続き、利益が無い事から強固に続行を宣言。


もっとも食糧が無い為、あと半日程度で、成果が無ければ帰還する事になった。


「ゾンビが来るぞ!」

リュウセイの警告に矢を番えるヒマリ。


ミナト、ヒマリ、アオイは鬱憤を晴らす様にゾンビを殲滅していく。


ゾンビの死骸から鼻をつまみ、無言で魔石を取り出すリュウセイ、ヒマリ、アオイ、そしてミナトの4人。


ユイナはその様子を、離れた場所で眉を顰めながら見ていた。


「そろそろグールエリアだ」

リュウセイが教えるが、反応は無い。


少しして「グールが来るぞ!」とリュウセイが教える。


するとミナトがリュウセイに尋ねる。

「グールの核は何処にある?」


「ん?頭だけど」


「頭の何処だよ」


「額の中心辺りかな?」


「良し。グールは額の中心狙うぞ!」


ヒマリは矢をグールの額に放ち、アオイは火魔法でグールの頭を燃やして、ミナトはグールの頭を叩き斬る。


「弱点さえ分かれば雑魚だ!」

とミナトの攻撃は激しさを増す。


「燃やし尽くしてやる」

アオイも魔法を次々に放つ。


そんな中で、リュウセイがヒマリに声を掛けた。


「ヒマリさん、そのバッグって矢を射る時に邪魔じゃ無いですか?」


「そ、そうね。ちょっと持ってて」


ヒマリは矢筒を取り出し、ショルダー型のアイテムバッグを、リュウセイに渡して矢を射る。


「おお、やっぱりこっちの方が撃ち易いわ」


ミナト達はどんどん前に行きながらグールを殲滅していく。


「また来た。なんだか数が多いぞ?」とミナト。


「おかしいわね?」

アオイも前に出て魔法をぶっ放していた。


「確かに普通じゃ無いわね・・・」

ヒマリは矢を番えながら、冷や汗を流す。


次から次に現れるグールに、イヤな予感がするミナト達。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はクロドに乗って、ダンジョン『魔獣の窟』の地下20階に来ていた。


地下15階から地下20階までミノタウロスを、狩りまくった。


皆にも御馳走したから、補給しておこうと思ってね。


地下15階から地下20階までは、冒険者も殆ど居なかったので、助ける必要も無くてスムーズに進む事が出来た。


そして21階に降りる。

美味しい食材にワクワクだ。

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