第26話 闇の探索者リュウセイ

冒険者ギルドに行った翌日の朝、俺は宿屋を出ると、『魔獣の窟』に再び向かった。


下層の肉をゲットするのだ。

「行くぞ!クロド!」

「ワン!」


門に向かってクロドと歩いていると、冒険者パーティー『風月の戦乙女』の2人と会った。


リーダーのカノンさんと新規加入のミウさんだ。


「ユウマくーん、おはよー」

「クロちゃーん、おはよー」


「お早う御座います」

「お早うワン!」

とお互い挨拶した後。


「これからどこに行くの?」

「今日も『魔獣の窟』です」


「目的は同じだぁ!一緒に行きたいけど、まだ3人来ないんだよねぇ」

とミウ。


「朝に弱い子達だからなぁ」

とカノン。


「ミノ牛ゲットしたんでしょ?御馳走して欲しかったんだけどなぁ」


「ははは、食事のタイミングで、向こうで会ったら御馳走しますよ」


「宜しくねぇ」

「期待しちゃうわ」


2人と別れて門を出た俺は、クロドに乗って『魔獣の窟』に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝の遅い時間、冒険者ギルドでは。


Aランク冒険者パーティーに降格した『焔の剣』の4人が、不機嫌そうに冒険者ギルドに入って来た。


その態度にギルド内にいた冒険者達は、避ける様に離れていく。


受付嬢メイはミナトを見ると、受付のカウンターから出て駆け寄った。


「ミナトさん、お早う御座います」


「おう!メイ、お早う」


「ミナトさん、追加メンバー候補の冒険者を見つけました!」

メイは自慢げに告げた。


「お!早いな。どんな奴だ」


「紹介します。リュウセイさーん!」


ギルド内に併設した酒場から、1人の男が立ち上がり歩いて来た。


全身黒装束で黒いカウボーイハットを目深に被った、細身で細面の美男子。


その雰囲気は、一流の冒険者の貫禄すらある。


男はミナトの前に来ると、スマートに軽く会釈して話し掛ける。


「Bランク冒険者のリュウセイです。宜しくお願いします」


差し出された右手には黒い指ぬきの革手袋を装着していた。


「おう、『焔の剣』のミナトだ。宜しく」


ミナトはリュウセイと握手を交わす。


「リュウセイさんは『闇の探索者』の二つ名を持つ探索者シーカーです。一流のパーティーには一流の探索者のサポートが必要と思い、口説き落としました」

メイがミナトに説明する。


「格好いい!」

弓使いのヒマリがリュウセイを見て、

小さく声を出した。


「良い雰囲気ね」

魔法使いのアオイも見とれている様だ。


「弓使いのヒマリよ、宜しく」

「魔法使いのアオイです。宜しくね」

「回復士のユイナです」

3人もそれぞれ挨拶を交わす。


ミナトはヒマリとアオイの言葉に一瞬眉を顰めるが、表情を戻しリュウセイに声を掛けた。


「酒場で詳しい話をしようか」


ミナト達は、リュウセイと連れ立って酒場に歩いて行く。


回復士ユイナがメイに振り向き御礼を言う。


「メイ、有難う。これでデュラハーンの討伐が出来そうよ」


メイはミナトの為に必死で探して、頑張って口説き落としたリュウセイが、『焔の剣』を再びSランクパーティーに、押し上げてくれる事を確信し、その後ろ姿を見送る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

【作者から一言】


さて、お試しで新規加入のリュウセイの実力は如何に!


『リュウセイが、『焔の剣』を再びSランクパーティーに、押し上げてくれる事を・・・。』


脳筋パーティーがそんな訳無いでしょう。


どんな波乱が待っているか!


お楽しみに。

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