第23話 ミナトの企み

ギルド長の執務室から出て来た『焔の剣』の4人と受付嬢メイ。


「Aランク降格かぁ」

悄げる弓使いヒマリ。


「早く帰って寝よう」

再び睡魔が襲って来た魔法使いアオイ。


(早くパンティーを穿きたいわ)

と心の中で思いそそくさと内股で歩く、回復士ユイナ。


そんな3人の後ろで何やらヒソヒソ話す、リーダーの剣士ミナトと受付嬢メイ。


「ユウマの野郎は許せないんだ」


「そ、そうだよねぇ」


「ユウマの所為でAランクに降格した様なものさ」


「そ、そうなんだぁ」


「ユウマは暫くEランクから昇格させないでくれ」


「え?う、うん。ちょっとぐらいなら操作出来るかなぁ」


いつも豪華な食事を御馳走になっているので、いけないとは思いながら断れないメイ。


「後はギルドとは別に、メンバーを募集して欲しい」


「えー。ミナトさんが求める人材はいないよぉ」


「まあ、全て満たさなくても良いし、これから覚えるでも良いんだ」


「それなら、何とか出来るかもぉ。でも、フリーで強い人って少ないよ」


「フリーじゃ無くても良いじゃん」


「え?引き抜きですかぁ?」


「一緒に依頼を試しに受けてみて、始めは試用期間で様子を見る感じで。お互いに気に入れば、こっちで上手くやるからさぁ」


「それなら、良いかなぁ。声を掛けて見ますねぇ。取り敢えずデュラハーン討伐ですよね」


「そうそう、頼んだよ」


「分かったわ」


「アオイとユイナは先に帰っちゃったよ」


ヒマリが待っていて、ミナトに声を掛ける。


『焔の剣』はギルドを出て宿屋に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その日の夕方、俺はブラッグドッグのクロドに乗って、『魔獣の窟』を出た。


中層の地下11階から14階でオークを狩りまくり、クロドも腹いっぱい食べたし、地下15階から19階でミノタウロスを狩りまくり、ミノ牛の肉も食べた。


ミノ牛最高!


ミノ牛肉は、クロドもすっかり気に入った様だ。


クロドに乗って冒険者ギルドに向かう。


途中でダンジョン内で助けた冒険者達に声を掛けられる。


「ユウマくーん。この前は有難う」

「いえいえ。無事で良かったです」


「クロちゃん、モフらせてぇ」

「ワン!」


ゆっくり歩くクロドの隣で歩きながら、クロドの頭を撫でる冒険者のお姉さん達。


「今からギルドに行くんだよねぇ」

「そうです。今回は依頼を受けてないので、買取だけですけどね」


「あの後、ミノタウロスを狩ったの?」

「はい!お姉さん達に教えて貰ったミノ牛最高でした」


「もう、よそよそしいなぁ。アヤカって呼んでよぉ」

「ははは、アヤカさんですね」


「私はモエカよ」

「私はワカナ」

・・・・・・・。


何時の間にか数人の女性の冒険者に囲まれて、ギルドに向かっていた。


「ミノタウロスもかなり狩ったんでしょ?」

「それなりに狩りましたよ」


「ええ!良いなぁ」

「ははは、今度ダンジョン内であった時に御馳走しますよ」


「やったぁ」

「私もぉ」

「私もよぉ」

「約束だからねぇ」


これってモテてるのかなぁ。

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