第22話 焔の剣って・・・。

冒険者パーティー『焔の剣』の追加メンバーの条件を聞いたギルド長と受付嬢メイは、声を揃えてツッコんだ。


「「そんな人いないからぁ!」」


「え!戦闘以外はユウマがやってたけど・・・?」

魔法使いアオイは、首を傾げ不思議そうに答える。


「お前等!ユウマを何だと思ってたんだ!奴隷でもそこまで過酷じゃ無いぞぉ!」


「えー?戦えないポーターなんだから、それくらいして貰わなきゃダメでしょう」と弓使いのヒマリ。


「ユウマに幾ら払ってたんだ」


「ん~、銀貨50枚かな?」

と魔法使いのアオイ。


「依頼の難度にかかわらずにか?」


「そうよ。固定賃金ね」

アオイは胸を張って答える。


「固定賃金って、そのお金で食材や次の依頼の準備もしてたんだろ?」


「おう、安い剣しか買って来ないから苦労したぜ」と剣士ミナト。


(文句を言うなら自分で買えぇ!)

もう言葉に出す気力もなくなり心の中でツッコむギルド長。


「矢も少ししか買って来ないから、使った矢をユウマが拾いに行って、時間が掛かっちゃったのよね。ちょっと曲がってたりしてイヤになっちゃったわ」

と弓使いヒマリ。


(自分で買ってお前が拾え!)


「そのお金で・・・、武器もかぁ! ユウマの食費も出ないだろうに」


「そうねぇ。依頼準備の食材を食べてた様だし、狩ったモンスターの肉とか勝手に食べてわ。酷いでしょ」


うんうんと頷く『焔の剣』のメンバーと受付嬢メイ。


(メイ?お前もか!)

「ひ、酷いのはお前等だぁ!」


「えー!何をそんなに怒ってるんですかぁ?」と回復士ユイナ。


「はぁ、はぁ、はぁ」

頭を抱えるギルド長。


「ギルド長、大丈夫ですかぁ?」

メイが心配そうに見ている。


(此奴ら、冒険者証剥奪及び都市追放した方が良かったかも)

後悔をし始めたギルド長。


「お前等が望むメンバーは何処にもいない。斡旋など出来ないからお前達で探せ」


「えー。降格してもAランクパーティーよ。この都市ではトップランクだわ。募集すれば集まるでしょう」

とアオイ。


「ギルドでは斡旋しない!」

ギルド長は強い口調に、口をすぼめて不満そうな顔の女性陣だが、口には出さず。


「それから、メイ、『焔の剣』には暫くの間、デュラハーン討伐以外は、Bランク以下の依頼しか受けさせるな」


「え!ギルドのルールに反します」

とメイ。


「そうだ!Aランク以上の依頼を達成しないと、Sランクに昇格出来ないだろう」とミナト。


「煩い!さっきの話を聞いて、Aランク以上の依頼を達成出来るとは思えない。当面の間は様子をみるのだ。ギルド長権限だぁ!」


「横暴だぁ!」

「酷いわ!」

「強権反対!」

「信じられない!」

文句を言う『焔の剣』の4人。


「高級な食事を奢って貰えなくなるわ!」とメイ。


「う・る・さ・い!!決定だぁ!!」


ギルド長の迫力ある剣幕に逆らえない『焔の剣』とメイ。


「「「「「はい」」」」」

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