第21話 追加メンバーの条件
渋々Aランク降格を認めた『焔の剣』の前に、ギルドの受付嬢メイは銀貨が入った布袋をテーブルの上に置いた。
「これが魔石の買取代金です」
袋の中身を見て驚く弓使いのヒマリ。
「ちょっとぉ!こんなに少ないのぉ?間違ってんじゃない!」
「いえ、間違ってませんよ。3分の1は解体の際、魔石の取り出しに失敗して傷がありましたので、値段が下がってます。もし買取をキャンセルされるなら、魔石をお返ししますがどうしますか?」
「ちっ、文句無えよ」
とリーダーの剣士ミナト。
「しょうが無いわねぇ。私もそれで良いわよ」とヒマリ。
「これっぽっちかぁ」
と魔法使いのアオイ。
「・・・」
回復士のユイナは解体を拒否したので、分け前が無い為口出ししない。
「ところで、特殊個体のデュラハーン討伐は諦めるのか?もし諦めるなら、他に手配しなければならんのでな」
ギルド長はミナトに問う。
「やるさ!やるに決まってる」
「リベンジよ!」
ミナトとヒマリはやる気満々だ。
ユイナはちょっと不安そうで、アオイはどうでも良いようだ。
「分かった任せるよ」
「任せてくれ。それでだな、メンバーを増やしたい、ギルドで斡旋してくれ」
「どんなメンバーだ?」
「先ず戦える奴だな。ユウマの様にレベル1では足手纏いだ。武器は何でも良いし、魔法でも良い、何なら避けるのが上手い奴でも良いんだ」
「ふむ、流石『焔の剣』だ。攻撃方法は問わないんだな。早速募集しよう」
「ちょっと待った!これからの条件が重要だ」
「ん?どんな条件だ?」
「マップ作成が出来て、道案内が出来る奴」
「探索出来る人ね。モンスターの襲撃を探知出来なきゃダメだわ」
「罠も探知して解除して欲しいわ」
「宝箱の解錠も出来ないとダメね」
ミナト、アオイ、ユイナ、ヒマリの順で次々と条件を追加する。
「成る程、探索者か盗賊、狩人のスキル保持者だな」
(ユウマはポーターと探索者の役割を兼ねてたのか)と納得するギルド長。
「まだあるわよ!」とヒマリ。
「ん?」
(まだあるのか?ユウマも苦労してた様だなぁ)とユウマに与えられた仕事を想像するギルド長。
「魔道具を扱う知識が必須ね」
「そうね。結界の魔道具とか発動して貰わないと」
「魔道具も壊れたら修理して欲しいわ」
「え!」(錬金術師かっ!)
「野営の準備も1人でやって欲しいわ、テント張ったりね」
「おい!」(使用人かっ!)
「解体のスキルも欲しいわね。臭いアンデッドの解体は、1人でやって欲しいわ」
「おいおい!」
(ごみ収集作業員かっ!)
「事前に戦う敵の情報を集めて欲しわね。弱点とか出現場所とか」
「おいおいおい!」
(モンスター学者かよっ!)
「料理もして欲しいから、調理スキルが必要ね」
「おいおいおい!」
(シェフかよっ!)
「武器の調整もだな。剣を研いで貰わないとな」と剣士のミナト。
「おいおいおいおい!」
(研ぎ師かよっ!)
「戦闘中に敵の弱点である属性の矢をタイミングよく渡して欲しいわ」
と弓使いのヒマリ。
「ん?」(そこまでする?)
「分け前は少ない方が良いわね」
とアオイ。
(おいおい。)「何を言ってる?」
「そのお金で弱点の属性の武器を用意して貰わなきゃダメだ」
「そのお金で食材や野営の準備もして貰わなきゃダメよ」
「奴隷かよっ!」(おいおい!)
何時の間にか心の声と実際に話してる声が、逆になってる事に気付かないギルド長。
「野営中の見張りは1人でやって貰わないとね、ぐっすり眠りたいし」
「ゴーレムかよっ!」(おいおい!)
「私達に煩く言わない人でぇ」
「はぁ!」(何の話だ?)
「殴っても文句を言わない人!」
「「そんな人いないからぁ!」」
ギルド長とメイが同時にツッコんだ。
「お前等は何をやるんだ?」
怒りを通り越して呆れるギルド長。
「「「「勿論戦闘だけど?」」」」
声を揃える『焔の剣』の4人。
「ダメだ、こりゃ!」
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1日2回の更新はこの話で終わります。
次回より1日1回投稿に戻ります。
次の投稿は5/11 0:00です。
「面白い」「続きを見たい」「更新頻度上げて」と思っていただけましたら、ブクマ、★★★、コメント、レビューをいただくとモチベが上がりますので、宜しくお願い致します。
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