第20話 Aランク降格2
冒険者ギルド長の執務室で、ギルド長よりAランク降格を言い渡された、Sランク冒険者パーティー『焔の剣』の4人が憤慨する。
焔の剣のメンバーは以下の4人。
リーダーの剣士ミナト。
弓使いのヒマリ。
魔法使いのアオイ。
回復士のユイナ。
「おいおい、今回のSランク昇格は試用期間があるって俺が説明したぞ!この都市に来て今まで一度も依頼未達成が無かったから、Sランクに昇格したが、まだ早いって言う声があったので、Aランク以上の依頼を10回失敗せず達成するまでは試用期間になってるんだ!」
早口で捲し立てるギルド長。
「はぁ!そんなの聞いてねえし!聞いてねえよな!」
「知らないよ!」とヒマリ。
「覚えて無いわ!」とアオイ。
「言われた様な、言われて無い様な」と目が泳ぐユイナ。
「ユウマぁ!聞いてたかぁ!」
思わずいつもの様に怒鳴るミナト。
「だ・か・ら、ユウマは首にしたから、いないってばぁ」
ユイナが答える。
「ああ、そうだった」
苦虫を噛み潰した顔のミナト。
「おい!そんな調子で面倒な事を、パーティーメンバーでも無いユウマに、何でも押し付けるから覚えて無いんだ。自分でサインした宣誓書の控えを出して見てみろ!」
「ユウマ!控えを出せ!・・・あ!ユウマはいないんだった。ヒマリ、アイテムバッグの中にあるか?」
ヒマリがアイテムバッグに手を入れて探す。
「ん。これかな?」
「どれ、貸してくれ」
誓約書の控えを引っ手繰るミナト。
「むむむ、本当だ。信じられん」
「どれどれ」
ヒマリとアオイとユイナもミナトの脇から、誓約書の控えを覗き見る。
「うへっ、マジかぁ!」とヒマリ。
「どうすんのよ」とアオイ。
「やっぱりぃ・・・」とユイナ。
「チクショー、分かったよ!だが、今回の依頼を達成すれば、またSランクに直ぐ戻れるんだろう?」
ミナトは馬鹿だからいつも自分にとって都合の良い事を言う。
「何を言うのだ。そんな訳無かろう。特例が通常に戻るだけだ。地道にAランクの実績を重ねるんだな」
「なにぃ!くっそぉ!こんな町から出て行ってやる!!」
「ほう?そう来るか?穏便に済まそうと思っておったが、お前がその気なら仕方あるまい」
「な、なんだよう」
「お主!戦えないユウマをダンジョンに置き去りにして、逃げたそうだな!」
「な、何を根拠に、」
ミナトの言葉を遮る様に、大声で言葉を被せて話すギルド長。
「Eランク冒険者のレベル1のポーターを、置き去りにしたと言うことは、殺そうとした事と同義!」
「そ、そんな事嘘だ!」
「嘘なものか、ユウマが1人で生きて帰って来た後、お主は『ユウマが殺された』と言って帰って来た。そしてユウマが生きてると知ると、ユウマをアンデッド扱いにして殺そうとした」
「ぬぬ、だったらどうしようって言うんだ・・・」
「冒険者証剥奪の上、都市から追放とする。何処でも好きな国に行けば良い!しかし冒険者としては活動出来ないぞ」
「「「「冒険者証剥奪?!」」」」
『焔の剣』の4人は、揃って大声を出す。
「不味いよ、ミナト」
「Sランクから一気に無職だよ」
「私はイヤよ。冒険者でいたい」
ユイナとアオイとヒマリがミナトに必死に話す。
「いいか!ユウマは事を荒立てる気が無い様だ。大人しくこの都市でAランクの実績を重ねろ!」
「くそっ!分かったよ」
その時、お茶を持って受付嬢メイが部屋に入って来た。
「お茶をお持ちしました」
「メイ、『焔の剣』のAランク冒険者証も持って来たか?」
ギルド長がメイに聞くと。
「はい」
メイは4人のAランクの冒険者証をテーブルの上に置いた。
「くっそぉ!」
顔を顰めるミナト。
屈辱の顔で冒険者証を受け取る4人。
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【作者から一言】
蛇足になって無ければ良いのですが・・・。
まんまと『焔の剣』を、この都市のギルドに縛り付ける事が出来たギルド長でした。
ポンコツ馬鹿野郎様の『焔の剣』と、それを許したギルド長に未来はあるのか!
『ざまぁ』見たいですよね・・・。
お楽しみに。
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「面白い、更新頻度をあげて欲しい」、「面白い、もっとおかわりください」と大変嬉しいレヴューをいただきましたので、頑張って今度の土日(5/9,5/10)だけ0:00と12:00の1日に2回投稿する事にしました。
コロナウィルスで自粛をされている方も多いと思いますが 、Stay home中に少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「面白い」「続きを見たい」「更新頻度上げて」と思っていただけましたら、ブクマ、★★★、コメント、レビューをいただくとモチベが上がりますので、宜しくお願い致します。
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