第13話 素材買取の代金を貰った

俺とブラックドッグのクロドは、昼近くに起きて、昼食を食べた後、冒険者ギルドに向かった。


冒険者達は朝早く依頼を受けて、依頼をこなしに行く者が多いので、この時間になると、冒険者の数は少ない。


俺は冒険者ギルドの扉を少しだけ、そっと開けて隙間から中を覗くと、受付にはメイが座っているのが見えた。


メイになんか言われると面倒なので、俺はまたそっと扉を閉めるとギルド裏の解体所に向かった。


解体所にはおやっさんが、丸太に座って一服していた。


「おやっさん!解体終わってる?」


「おう!ユウマ終わってるぜ」


「ここでお金を受け取っても良いかな?」


「受付で受け取らないと、ランクアップのポイントがつかないが良いのかい?」


「うん。メイに会うと色々面倒になりそうなので、ポイントはいいや」


「メイの奴はしょうがねえな。御免よユウマ。後でギルド長にも話しておいてやるよ。代金はこれだ」


おやっさんは俺に金貨が入った布袋を渡してくれたこと


「おお!」


ずっしりとしたその布袋の重さに驚き、その中身を見る。


「奮発しといてやったぜ。また頼むよ」


「有難う。また来ます」


俺は金貨の袋を空間に収納した。


「次はどこの狩り場に向かうんだい?」


「クロドがオーク肉を食べたいって言うので、『魔獣のいわや』に行ってくるよ」


「おお!そうかい。俺にも肉を持って来てくれ」


「了解!またね」


素材の代金を貰った俺は、ダンジョンに行く準備として、食材や武具、各種ポーション、魔道具を買い込んだ。


そしてクロドと一緒に、『魔獣の窟』に向かった。


『魔獣の窟』は獣系のモンスターが多く出現する岩の洞窟。


上部の階層はコボルトや一角兎アルミラージ眠り羊スリープシープ鉄鼠アイアンラットなどの比較敵初級者でも、パーティーなら狩れるモンスターが出現する事から、そこそこ人気のあるダンジョンだ。


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冒険者ギルド受付。


朝の忙しい依頼の受付業務が一段落して、一息ついているメイ。


一段落した事で昨日のユウマとの会話を思い出しイライラしていた。


元冒険者だったメイにはSランクパーティーは憧れの存在だ。


しかも王都所属のパーティーから、久しぶりにSランクに昇格した『焔の剣』のミナトを狙っているメイにとって、ユウマの暴言は許せるものでは無かった。


「ホント、頭にくるわ!」


思わず声に出てしまう。


「メイ、どうしたの?」


隣の受付嬢ヤヨイがメイに話し掛ける。


「ヤヨイ、聞いてよ。昨日ポーターのユウマがダンジョンから戻ってきて、斯く斯く云々・・・」


メイはストレスを感じていた為、ヤヨイに詳細を話す。


この日の内に『焔の剣』とユウマの件は、ギルド中に広まり、そして冒険者達にも広がってしまったのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃の『焔の剣』は・・・。


「はぁ、はぁ・・・」


ボロボロの剣を抜き身で持ちながら歩く剣士ミナト。


「眠いわ・・・」

目を擦りながらヨロヨロ歩く魔法使いのアオイ。


回復士ユイナと弓使いヒマリは声を出す気力も無く、亡霊の様に歩く。


徹夜明けの疲れた身体を引き摺りながら、休憩場所に向かっていた。

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