第12話 宿に行った

俺とブラックドッグのクロドは宿に行く。


いつも泊まってる『焔の剣』の常宿は避けて、安いが食事の美味い宿に行こう。


既に深夜になっていたので、部屋が空いているか、ちょっと心配だ。


この宿は馬車馬や騎乗用モンスターを預かる為の小屋があるので、部屋に入れない場合はクロドを小屋で預かって貰う予定だ。


宿に着いて従業員に確認したら、部屋が空いていたので、チェックインする。


従魔なら部屋に連れていっても良いとの事だったが、クロドを見て広い部屋に案内された。


多少高いがしょうが無い。


深夜だが、まだ食事も出せるとの事だったので、宿で夕食を食べる事にした。


ラッキー。


食事も従魔同席で構わないとの事で、宿の食堂テーブルに座り、隣の床にクロドが座った。


食事はオーク肉のステーキを3人前注文し、2人前をクロドに食べさせる。


「おお!久しぶりにオーク肉を食べたワン。美味いワン」


「そうかぁ。明日はオークが居るダンジョンに行こうか」


「良いねぇワン。明日は腹いっぱい食べるぞワン」


俺はお腹いっぱいになり、クロドはまだまだ足りなさそうだったが、部屋に戻り、やっと寝られるぞ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


その頃の冒険者ギルド。


ギルド長の執務室で話すギルド長と受付嬢の猫獣人メイ。


「・・・と言うわけで、・・・ポーターのユウマが言うには、『焔の剣』のミナトさん達が、ユウマをダンジョンに置き去りにしたなんて、嘘を言うんですよぉ!」


「ふ~ん。内容は分かった」


「Sランク冒険者パーティーである『焔の剣』への侮辱です! 許されない言動です。冒険者を首にしてくださいぃ!」


「いや、そう言ってもだなぁ」


「何が問題なんですかぁ?」


「嘘か本当かはまだ分からんだろう。しかも、ユウマはSランクパーティーが優位である事を知ってるから、問題を報告しないって言ったんだろう」


「そこが怪しいんですよ! 自分が正しいなら、問題報告するはずです!」


「いやぁ、報告しても取り合って貰えないって、知ってるからだと思うよ。逆に冒険者ギルドとしては、Sランクパーティーと揉めなくて良いから助かるがね」


「ええええ! ギルド長もユウマが嘘をついてないって思うんですかぁ! 信じられません!」


「真実は『焔の剣』が無事戻って来て、ユウマの事をどう報告するかによるなぁ」


「もう! 良いです!」


バタンッ!!


メイはギルド長の執務室の扉を勢い良く開閉して部屋を出て行った。


「はぁ。ユウマの事は良く分からんが、ブラックドッグがSランク冒険者ヒナタの従魔だったら、悪い奴には靡かないと思うんだがなぁ」


ため息のギルド長だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして『焔の剣』は・・・。


またグールの襲撃を受けていた。


「ひぃ」

逃げる回復士のユイナ。


「くそっ! また出やがった」

研いでない剣を構える剣士ミナト。


「もう! いやぁ! 眠いしぃ!」

MPが残り少ない、魔法使いのアオイも逃げ腰だ。


「死ね死ね!・・・あっはっは!」

ちょっとナチュラルハイになってる、弓使いのヒマリ。

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