第11話 解体所に素材を買取に出した
俺は冒険者ギルドの解体所に、ダンジョンで手に入れた素材を出した。
スケルトン、ゾンビ、グール、リビングアーマーの魔石と、リビングアーマーの鎧、盾、剣。
「おいおい、この量はいつもより多いなぁ。しかもリビングアーマーの武具をそのまま持ってくるとは・・・」
おやっさんはリビングアーマーの死骸である鎧と剣と盾を見る。
「殆ど疵も無いじゃないか!高額で買い取れるぜ。査定しておくから明日の昼過ぎに来てくれ」
「分かったけど、前金で銀貨20枚貰えないかな?」
「どうした?」
「実はポーターを首になって、荷物を全て『焔の剣』に取り上げられて、今日泊まる宿代も食事代も無い。文無しなんだよ」
「そうかぁ。良いぞ!前金で銀貨20枚渡しておくぞ」
おやっさんは俺に銀貨20枚をくれた。
「有難う。査定宜しくね」
「ちょっと待ってよ!今聞き捨てならない事を聞いたわ、『焔の剣』はSランクパーティーよ!そんな事をする訳がないわ!」
冒険者ギルドの受付嬢である猫獣人のメイが叫ぶ。
「まあ、信じなくても良いよ。どうせEランク冒険者のポーターとSランク冒険者パーティーだったら、例え不正をしても、冒険者ギルドはSランク冒険者パーティーを取るだろうよ」
俺はクロドとその場を去ろうとする。
「ちょっと待ちなさいよ」
メイは俺の腕を掴む。
「離してくれないかなぁ、食事する暇が無くて腹が減ってるんだよね。宿も探さないと行けないし」
「ちゃんと話をしなさい! 喋るまで帰さないわよ。喋らないとギルドを首にするわ!」
「横暴だなぁ。他人の都合は全く無視かい? 良いか、よく聞けよ!俺はミナトに殴られて、ダンジョンに置き去りにされた。クロドと出会えたから生きて帰れたが、出会えなければ死んでたんだ!」
「そんな酷い事をミナトさんがする訳無いわ!」
「じゃあ、どうして俺だけがここにいる? 多分2日後ぐらいに『焔の剣』がギルドに来るだろう。そして、俺がダンジョンで死んだと言うはずだ。更に依頼を受けているデュラハーン討伐は未達成だ」
「そんな事無いわ! 今まで、ミナトさん達は依頼を100%達成してたものぉ!」
「ははは、今日以降Bランク以上の依頼は達成出来ないだろうね」
「嘘! 嘘! 嘘よぉ!」
「本当か嘘かはミナト達が帰ってくれば分かるさ」
俺とクロドは冒険者ギルドを後にした。
おやっさんはメイに。
「俺はユウマの言ってる事が、案外正しいと思うがな」
「うそよぉ!」
メイは涙ぐんで俺達の後ろ姿を睨む。
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その頃の『焔の剣』。
「臭いのよぉ!もーいやぁあああ!」
鼻をつまんでゾンビから魔石を取り出す、弓使いのヒマリ。
「う”~、臭いよぉ!」
同じく鼻をつまんで魔石を取り出す、魔法使いのアオイ。
「黙って取れよ」
ムスッとして、魔石を採取する剣士ミナト。
「キモいし! 臭いし! 絶対嫌! お金なんか要らないわ!!」
3人から遠く離れて腕を組んで見ている回復士ユイナ。
「「「ユウマ!生きてたら、絶対許さないんだからぁ!!!」」」
自分達がユウマを首にしておいて、ダンジョンに置き去りにしながら、逆恨みの女子3人でした。
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