第8話 従魔契約

「クロド、待たせたね。さあ行こうか?」


俺はブラックドッグのクロドに部屋を出る事を告げる。


「今から時間的に夜になると思うが、寝なくても良いのかワン?儂は夜行性だから問題ないがなワン」


「1日ぐらい寝なくても大丈夫だ。早くダンジョンを出たいしね」


「分かった。ユウマはレベルが低そうだから、従魔契約をしてやろうワン。従魔契約すると、儂がモンスターを倒しても経験値が入るワン」


「え?そんな事出来るんだ!助かるよ。是非お願いします」


「出来るワン」


クロドの全身が淡く白く光った。


クロドから淡い光の線が俺に伸びて来る。


頭の中にメッセージが流れる。


<クロドが仲間になりたそうに こちらを見ている。従魔契約しますか? Yes/No>


Yesの選択をイメージする。


頭の中にメッセージが流れる。

<従魔契約が締結されました。>


おお!こんな事が出来るんだ。


「テイマーじゃ無くても契約出来るんだね」


「テイマーは自分から契約を申請出来るが、モンスター側から申請する場合は職業は問わないワン」


「成る程、有難う。行こう!」


「儂の背に乗っても良いぞワン」

クロドは俯せになる。


「有難う」

俺はクロドの背に乗った。


部屋を出ると空間把握でこの階をマッピングする。


「道は分かるかワン?」


「うん。空間把握のスキルがあるから、この階は大丈夫だ」


「良し、道案内は任せるぞワン」


「おう!じゃあ右の道を頼む」


「了解だワン」


クロドは走るのが速くて、長い毛をしっかり掴まないと落とされそうだ。


「次の道を曲がって直ぐに、リビングアーマーが2体いるが大丈夫か?」


「問題ないワン。長年スライムを食べてたので、レベルが相当上がっているからなワン」


クロドは道を曲がると、素速くリビングアーマーに飛び掛かり押し倒した。


俺はリビングアーマー2体の魔石を、亜空間に収納した。


レベルアップのメッセージが流れた。


この階のモンスターはレベルが高いので、レベルアップが早そうだ。


「ん?何もしてないのに、死んだワン」

驚くクロド。


「ふふふ、俺のスキルだよ」


「おお!良いスキルだなワン!」


「さっきレベルが上がって覚えたばっかりだけどね」


俺はリビングアーマーの死骸を亜空間に収納するが、剣を1本だけ収納しないで、腰に付ける。


その後、1体だけのリビングアーマーを倒し、2体以上の場合は避けて、上に行く階段を目指した。


階段を上り空間把握を行うと、『焔の剣』が部屋でモンスターと戦っているのが分かった。


思うところはあるが、今は無視だ。


この階はゾンビとグールだ。


ゾンビとグールも1体の場合は倒し、複数対いる場合は避けて進む。


倒したゾンビとグールからも、一瞬で魔石を収納して倒すことが出来た。


その上の階はスケルトン、更にその上の階のゾンビを問題なく倒していく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ちょっと前の『焔の剣』。


『焔の剣』は交替で見張りをしており、弓使いのヒマリが見張りを、剣士ミナトと魔法使いアオイと回復士ユイナは寝ていた。


しかし、ヒマリがウトウトしており、ゾンビが近付いてきたのを、気付くのが遅れた。


異臭がして目を覚ますヒマリ。


「うああああああ!」


ゾンビが近付き驚くヒマリ。


「どうした!」


寝袋を開けて飛び起きるミナト。


ゾンビが直ぐ近くにいるのを見る。


「ちっ、ユウマ!何やってんだ!」


いつもはユウマが、魔除けの魔道具をセットしていたのだが、どれが魔除けの魔道具か分からなくて、交替で見張りをしていたのだ。


「きゃあああああ!」

と逃げるユイナ。


「ユウマ!しっかりしなさい!給金無しにするわよ!」とアオイ。


「ユ、ユウマは首にしたから、いないわよ!」離れて震えるユイナ。

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