第5話 転生者

2020/7/4 一部修正しました。

「亜空間の中に生き物は入れられない」の記述を削除致しました。


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俺はダンジョンの落とし穴に落ちた。

落ちた先は水の中、しかも陸地に向かって泳いだら、周りはスライムだらけ、絶体絶命だった。


顔に張り付くスライム。


「うっぷ」


呼吸が出来ない。


顔から剥がそうとするが、ゼリー状のスライムを掴めない。


無我夢中で掴んでは顔から剥がす動作を繰り返していたら、掴んだ手に硬い感触があった。


魔石?


手にはスライムの魔石があった。


空間魔法の亜空間に、物を収納出来るって説明があった気がする。


魔石は物だよなぁ?


俺は手にした魔石を亜空間に収納すると、顔を覆っていたスライムが顔から離れた。


その時、頭の中にメッセージが流れた。


<スライムを倒しました。経験値を10取得しました。>


ん?けいけんち?


経験値って、RPGのゲームみたいだなぁ。


ゲーム? RPG? ん? 


日本! 俺は日本人だ!

いや、日本人だった。


俺は転生していたのか!


と自覚したのだが、それ以上記憶を思い起こす余裕はない、またスライムが口と鼻を覆う。


しかし、対処法を知った俺は、少し落ち着きを取り戻していたので、眼を開いてスライムの魔石を探し、魔石を手で掴み亜空間に収納していく事に集中する。


魔石を収納する都度、頭の中にメッセージが流れた。


その内異なるメッセージも流れる。


<レベルアップしました。>


レベルアップ!!


良し!!


ステータスが増えたはずだ!


少し力が強くなった気がする。


俺は鼻と口を覆うスライムの魔石を亜空間に収納しながら、水の中を歩いて陸地に進む事が出来る様になった。


助かりそうだ。


ホッとしたのもつかの間、踏み出した足が滑る。


足の下にスライムがいた様だ。


バシャンッ!


体勢を崩しスライムの中に倒れる。


ボゴボゴッ。


身体全身が重く感じる、スライムが一斉に集まってきた感覚。


立ち上がれない・・・。


あぁ、ヤバい・・・。薄れていく意識の中で、黒い影が迫って来るのが、微かに見えた気がす・・・る・・・。


走馬灯の様に過去の記憶が浮かぶ。


俺は商人から逃走した後、冒険者の登録を行った。


生きていく為、生活費を稼ぐ必要がある為だ。


戦う事が出来ないが薬草の採取や街の雑用等を行い、その日暮らしをしていた。


ある日、空間魔法を使う俺の事を聞き付けたのか、貴族が目の前に現れた。


「お前が空間魔法を使える冒険者だな。空間魔法を使えるとは便利だ。特別俺の従者にしてやろう」


俺の意思は関係なく、有無を言わさず、力づくで貴族の屋敷に連れて行かれた。


ここでも、奴隷の様な過酷な労働を強いられた。


給金無し休憩なしで深夜までの雑用。


食事は朝晩2食だけ、精神的にも肉体的にも限界を感じた俺は、貴族の元を逃げ出した。


その後、別の都市で冒険者をしていた俺は『焔の剣』にポーターとして雇われたのだった。


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その頃ユウマを首にした『焔の剣』は・・・。


グールの群れと戦っていた。


ズシャ!ブシュ!


グールの首を斬り、胸に剣を突き刺す剣士ミナト。


バギッ!ズダアアン!


しかしグールに叩かれ飛ばされる。


「くそぉ!ユウマ!此奴らの弱点はどこだ!」


「ユウマは首にしたでしょう!」

と回復士ユイナ。


ヒュン、ズシュ!


弓使いヒマリの矢がグールの胸を貫くが、グールは止まらない。


「どこが弱点よぉ!」


「ファイアーボール!!」


ヒューン、ゴオオオオ!


魔法使いアオイの火魔法がグールに当たる。


しかし火に包まれたグールは止まらない。


「きゃああああ!」

逃げる魔法使いアオイと回復士ユイナ。


『焔の剣』は逃げ出した。

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