第4話 亡霊洞窟

俺は目を覚ました。


Sランク冒険者パーティー『焔の剣』によって、ダンジョンに捨てられた。


このダンジョンの名前は『亡霊洞窟』という、ゴースト系のモンスターが多い。


くっそぉ、ここで首にしなくても良いだろう。


俺は戦うスキルがないのに、武具もないんだぞ、マッピングした地図も持っていきやがった。


しかし、俺がマッピングしたので、ある程度は帰り道を覚えているのが救いか、出来る限りモンスターと遭遇しない様に脱出しなければいけない。


俺は身体を起こすと、ズキズキと痛む後頭部に手をやり、辺りを見渡す。


宝箱があったダンジョンの部屋。

洞窟の壁。天井の淡い灯り。


この洞窟の天井は淡く光っている為、ライトの魔法や魔道具が無くても、薄らと周りが見えるので何とかなりそうだ。



部屋の出入口に歩いて行く。


このエリアに出現するモンスターは、ゾンビなので臭いを嗅ぎながら進めば、出会わない様に進めそうだ。


取り敢えずダンジョンを出る必要があるが、モンスターと出会わない様に気を付けてダンジョンの入口を目指す。


暫くダンジョンを進み、どうにかモンスターを避けて、ゾンビが出現するエリアは越えた様だ。


罠も気を付けて、ゆっくりゆっくり歩く。


ガタッ。


物音に身体がビクッとして、音が聞こえた後ろを振り向く。


スケルトン!


薄暗い洞窟の奥に立つ、骸骨のモンスターが3体、しかも剣と盾を持っている。


カタカタカタ。


まるで笑っている様に頭蓋骨から、歯が当たる音を出して迫るスケルトン。


さっきまでは確かに存在していなかったので、突然湧いたのか。


ヤバい。


俺は武具の無いただのポーターだ。

今までモンスターと戦った事がない。


怖い。


タッタッタッタッタッタッタッタッ!


恐怖で震え硬直しそうな身体を無理矢理動かそうとするが、スケルトン達が走ってきて、距離が詰められる。


身体がこわばり動かない。

心臓がドクドク早く動き、呼吸が荒れ、汗が出て来て、音が聞こえず、周りが暗くなる。


「ああああああああああああああ!」


大声を出した。


腹の底から、我を忘れるぐらい大声を出すと、火事場の馬鹿力が出ると誰かに聞いた事を思い出す。


一瞬緊張による硬直が解けた様で、身体が動く。


俺は走り出した。

いつもより速く走っている気がする。


突然足の下の地面が無くなった。


落とし穴。


ヤバっ。


確かにこの辺りに落とし穴があった事は知っていたはずだが、恐怖により判断力が低下していた様だ。


暗い穴に落ちていく。


ジャッバアアアアアン!!!


水の中に落ちた。


足が付かない。


バシャバシャバシャッ。


手足を動かし、何とか顔を出して呼吸をする。


淡い光の中で、陸地が見えたので、泳いで陸地に向かった。


少し泳ぐと足がついてきた、水はまだ顎ぐらいある。


更に泳ぐと肩ぐらいになった。


段々水がヌルヌルしてきた気がする。


皮膚が露出した部分がに痺れを感じる。


ん?


水が動く。


スライム!!


周りの水はスライムだった・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方ユウマを首にした『焔の剣』。


ドガッ!バコッ!


スケルトン達を蹴散らす剣士ミナト。


「わっはっは、どけどけぇ!」


ゴゴゴゴ、ブォアアアア!


火魔法でスケルトンを焼き尽くす魔法使いのアオイ。


「焼き尽くしてやるわ!」


ぼーっとしてる弓使いヒマリ。


余裕で横の壁に手を着いた回復士ユイナ。


ガコッ!


「え?」


シュッ、ブシュ!


罠が作動し矢が足に突き刺さる。


「いったぁ~い!ユウマ!ちゃんと罠を教えてよぉ!」


矢を抜いて回復魔法をかけるユイナ。


「ユウマは首にしたでしょ」


眉を顰めてユイナを見る弓使いヒマリ。

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