第2話 ポーターを首になった
「お!部屋があるぞ」
先頭のリーダーの剣士ミナトが、部屋に入った。
「宝箱だぁ!」
ミナトが宝箱に駆け寄る。
部屋の奥が一段高くなっており、その上に台があった。
台の上には宝箱があった。
「ちょっと待って!」
俺はミナトの後ろから宝箱に近付いた。
ミナトは宝箱を開けようとしていた。
「待ってって言ったのに」
「いちいち煩いんだよ。鍵が掛かって開かねえぞ。開けろよ」
「了解」
俺は亜空間から魔道具の鍵と罠探知のモノクルを出した。
モノクルを装備し罠の確認を行う。
ガチャガチャ。
魔道具の鍵に魔力を通すと、鍵は光り宝箱の鍵穴にあった形に鍵が変形する。
「早くしろよぉ。とろいなぁ」
「慌てない、慌てない」
「開いたぁ!」
いつの間にか、弓使いのヒマリ、火魔法使いのアオイ、回復士のユイナの3人も、宝箱の周りに集まっていた。
「なになにぃ?」
「何だろう」
「・・・バッグだ!」
「なぁ~んだ。バッグかぁ」
「武具だったら良かったのになぁ」
ミナトがバッグを手に取った。
そして俺に渡す。
「宝箱に入っていたんだ。普通のバッグのはずがねぇ。どんな機能があるか調べろ!」
「分かった」
俺は亜空間から鑑定のモノクルを出して、バッグを鑑定した。
皆期待の眼で俺の鑑定結果を待つ。
「アイテムバッグだね」
「アイテムバッグ?」
「バッグの中が亜空間になっていて、収納出来る様になっている」
「ほほう、ユウマの亜空間より沢山入るのか?」
「うん。俺の亜空間の2倍ぐらいかな」
「ふふふ、そうか!」
ミナトはニヤリと笑ってバッグを俺から取り上げた。
「お腹空いたなぁ」
ヒマリはお腹が空いたらしい。
「そうだな。ユウマ、食事の準備をしろ」
「分かった」
俺は宝箱のあった場所から降りて、食事の準備を始める。
『焔の剣』の4人はヒソヒソ話をしていた。
「食事が出来たよ」
俺は4人を呼んだ。
昼食はオーク肉のサンドイッチだ。
「また、オークぅ!」
ヒマリが文句を言う。
「しょうがないだろう。食材はこの前狩ったオークが残ってるんだ」
「はぁ~、お前の給金でもっと食材を買っとけよ」
「え!武器を買ってるから、そんなに買えないよ」
「うるせぃ、文句言うな。給金が貰えるだけ有難いと思え」
はぁ、通常のポーターの給金しか貰って無いんだけどなぁ、武具も食材もなんて買えないよ。
食後、ミナトが俺に言った。
「アイテムバッグを手に入れたから、ユウマは首ね」
「え?」
「さあ、亜空間の荷物を出しな」
「ちょっと待って。本当に俺がいなくても大丈夫なの?」
「はぁ!戦えない癖に何を偉そうに。戦えない奴は邪魔なんだよ。いちいち煩いしな」
「ヒマリもアオイもユイナも賛成なの?」
「オーク肉ばっかり出しやがって、食材も事前に準備出来ない野郎はいらねえよ」
とヒマリ。
「戦えない癖に生意気だからね」
とアオイ。
「アイテムバッグがあればポーターは不要でしょ。給金が勿体無いわ」
とユイナ。
「マジかよ?」
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