勇者の恋心

リザシオンは仲間の治癒魔法で無事回復した。リザシオンはベッドでぼんやり窓から見える景色を見ていた。

そんな時、空を飛んでいたカラスが窓の縁に降り立ち、くちばしにくわえていた手紙をリザシオンの布団の上に落とすと飛び去った。

「・・・手紙?」

開くとゆらゆらと文字が浮かび上がる。


『勇者リザシオン殿


娘を嫁に欲しければ私を倒しなさい


魔王代理』


ただ、それだけが書いてあった。読み終わると手紙は黒い羽となり、風に吹かれて跡形もなく消えてしまった。

リザシオンはだんだんと顔が熱くなった。

「・・・う、嘘だろ。なんで魔王代理がっ・・・なんで、クローチェが好きだって」

リザシオンはパニックになり、頭を抱えた。




魔王城の一室。

水晶玉に映る映像は、つい先ほど、勇者とクローチェが戦闘していた映像だ。

勇者リザシオンの顔がハッキリと映っていた。

魔王代理はススッと水晶玉を指先で触れる。

「ふふふ・・・私の可愛い可愛い娘に恋をするとはね。勇者リザシオン・・・クローチェを嫁にしたいなら私より強くないとねぇ?」

魔王代理は立ち上がる。

愛しい娘、クローチェが待つ部屋へと魔王代理は向かった。

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