記録4 魔王城はんばぁがぁ

「はわわわ!厨房とかはじめてー!」

クローチェ感動。

「普通、王族は厨房に入りませんからね・・・」

結局、心配でついてきたフィク。

「ふふふ!クローチェと一緒に料理!楽しみ~!」

魔王代理ウキウキである。

「えっと、はんばぁがぁに挟む具材を魔王代理と姫様に決めてもらいます。ここにある食材から好きに選んでください」

「う~ん、どれにしよっかなぁ。やっぱり、好きな食材は入れたい所よね!」

そう言って、玉ねぎのような味がする、赤い、鬼の顔の様な模様がある、野菜を手にとる。

「せっかくだし、これもいれましょうか?」

魔王代理は青くて四角い形のトマトみたいな味がする、野菜を手にとる。

「あー・・・ソウデスネ!」

フィクが微妙な顔をする。

「フィク、その野菜嫌いだよねー」

「あれのどこが美味しいのかわかりません・・・あんな青臭い野菜・・・」

「えー?美味しいのにぃ」

「・・・そうだ、この野菜いれましょう!」

「ちょ、フィク、それ私の苦手な野菜じゃん!わざと選んだでしょ!?」

「いえ?姫様の健康を考えました。わざとではありません」

フィクはわざとらしく笑う。

そうこうしている内にはんばぁがぁに使う食材が決まった。

「それじゃあ、後は私たちに任せてください。刃物など、危ないですからね」

「え、刃物使うなら、なおさら任せてよ」

「ちょっと姫様!刃物って姫様が戦闘で使う大斧とは、違うんですからね!?」

フィクが慌て言う。

「料理長、私がついてればいいわよね?」

クローチェの後ろからひょこっと現れるのは魔王代理。

「・・・ま、魔王代理がついているなら」


「クローチェ、それは、もう少し薄く切った方がいいんじゃない?」

「そ、そうですね・・・ちょっとサイズがバラバラ・・・」

魔王代理は、面白いぐらい、全て薄く、同じくらいのサイズに切られている。

一方、クローチェは分厚かったり、薄かったりと、ちょっとサイズがバラバラである。

「姫様、意外と大雑把と言うか、適当にやりますよね」

フィクはボソリと言う。もちろん、バッチリクローチェの耳には聞こえている。

「むぅ、悪かったわね。大雑把で!」

「ほらほら、クローチェ、よそ見してたらダメよ?」

魔王代理は、そう言ってクローチェに体を密着させ、手を取り、教え始める。

「はい、こっちは猫さんの手で押さえて・・・」

クローチェは、途中から説明は右から左へと流れていた。クローチェの背中に柔らかい、フニフニしたものがあたる。

そして、自分の胸元を見る。平らである。

(あああ!気になってしょうがないいぃ!)

そして・・・

サクッ

「痛っ!」

うっかり指を包丁で切ってしまう。

「クローチェ!」

魔王代理はクローチェの手を取り血が滲む指をなめる。

「ぴやゃああぁ!?」

クローチェ、びっくりして思わず変な声が出てしまう。

「よかった・・・傷は深くないみたいね」

クローチェは慌て手を離す。

「び、びっくりしたぁ!突然なめたりしないでくださいお母様!てか、なめないでくださいっ!ちゃんと自分で処置しますからっ!」

「びっくりしたのは、こっちもよ・・・大事なクローチェの肌に傷でものこったら大変ですもの」

「お、お母様・・・ごめんなさい」

「ふふ、いいわよ・・・さぁ、続けましょう?」

こうして、魔王城はんばぁがぁがついに完成したのである。


「ちょっと食べにくいけど美味しい!人間たちが食べるハンバーガー食べたことないから、なんとも言えないけど、やみつきー!また、食べたいっ!」

クローチェは美味しそうに頬張る。

「いつでも、作りますよ。ちゃんとレシピ書いておいたので!」

「ふふふ、クローチェ、ほっぺたにソース付いてるわよ?」

「ほぇ?」

そして、魔族たちの間で魔王城はんばぁがぁが流行ったりしたのである。

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