記録3 はんばぁがぁってなんぞや?
クローチェは、自室のベッドに寝ころがりながら、人間たちの生活についてまとめたノートを見返していた。
「これいいなぁ!黒っぽいドレス飽きたし、臣下に頼んでこんな感じのパステルカラーの服、作ってもらおっかなぁ~」
ニマニマしながらノートをペラペラめくっていると、メイドであり親友のフィクが現れる。
「姫様、料理長が今日の昼食、何が食べたいですかって言ってました」
ここでは昼食はクローチェが食べたい物を作ってくれる。
(ちなみに朝食は、お父様のリクエスト。夕食はお母様のリクエストで作られている。お父様が封印されている今は、朝食は料理長におまかせしている)
「う~ん、そうだなぁ・・・特に無いしおまかせでもいいけど・・・あ、ハンバーガーってのが食べてみたい!」
クローチェはノートに張り付けたハンバーガーの写真を指差す。
「ハンバーガーですか・・・料理長作れるかな・・・?とりあえず聞いてみますね」
「姫様・・・その、はんばぁがぁってのは、なんですかね?」
熊の獣人のおじさん・・・料理長はクローチェの自室のソファに座り、真剣な顔で聞いてきた。
「なんでも人間たちがこよなく愛す食べ物らしいわよ?」
そう言ってハンバーガーの写真を見せる。
「料理長・・・作れそうになければ無理だと言ってくださいね・・・」
フィクは、そっと呟く。
「いや、作って見せる!人間に出来るなら俺にも出来るはず!それに姫様を厨房にいれるわけにいかないですから・・・」
「そんな遠慮しなくていいのに・・・自分で料理してみたいし!」
「「ダメです!!」」
フィクと料理長の声が重なる。
「とにかく・・・円形のパンに肉や野菜などを挟めばいいんですね」
フィクはもう一度クローチェの持つ写真を見つめて言う。
「肉は問題無いが、野菜かぁ・・・こんな綺麗な色の野菜はないんだよなぁ」
料理長はうなる。
「まぁ、ここ魔王城ですし?魔族の住む領地だし、そっくりじゃなくてもいいと思うよ?と言うか、魔王城オリジナルハンバーガーを作ればいいんだよ!」
クローチェは目を輝かせる。
「姫様がそう言うのであれば・・・このはんばぁがぁの資料、借りてもよいですか?」
「もちろん!・・・ねぇ、私も食材選び一緒に行っちゃ・・・ダメ?」
可愛らしく小首をかしげてクローチェは聞いてみる!
「「ダメです!!」」
即答だった・・・
「姫様は部屋で待っててください!厨房は危ないですから!」
「そうです!厨房に行ったら姫様、何かやらかしてしまうかも知れないですからダメですっ!」
料理長とフィクは手でバッテンを作る。
「じゃあ、私が一緒ならいいかしら?」
突然、クローチェの背後に現れたのは・・・
「お母様!?」
「「魔王代理っ!」」
魔王代理は、クローチェの頭をそっと撫でる。
「ふふふ、いつもめんどくさがるクローチェが珍しく自分からやってみたいって言うなんて珍しいからやらせてあげたいわ。それに・・・クローチェが作る昼食、食べてみたいし☆はぁ、娘の手料理が食べられるなんて・・・幸せ!クローチェ大好きっ!」
そう言ってクローチェを抱き締める。
むぎゅうっ!
「ぐっ!や、やめてくださいお母様!お、お母様のふくよかな胸に顔がう、埋まりそう・・・窒息す、るぅ・・・」
こうして、クローチェたちは魔王城オリジナルハンバーガーを作る事になったのだ。
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