記録2 クローチェの憧れ

クローチェは自室のベッドにダイブした。

「お母様のバカッ!なんで私はお母様の娘なのに、胸がぺったんこなのよぉ!なんで、お母様は、胸があんなにふくよかなのよ!」

クローチェは足をバタバタさせる。スカートがぺろんぺろんめくれる。

「姫様~モコモコのハート柄パンツがみえてますよー」

そう言うのはクローチェの親友であり、専属メイドのフクロウの獣人少女、フィクである。

「モコパンいうなぁ!」

足をバタバタするのを止めないため、モコモコパンツは見えたままである。

「姫様・・・最近、人間たちの間で流行りの飲み物の話・・・聞きたくありません?」

フィクがそっと呟くと、クローチェは足をバタバタするのを止め、ガバッと起き上がる。

「聞きたい!聞きたい!ね、どんな飲み物なの!?」

「その名も『タピオカ』だそうですよ」

「・・・たぴ?たぴ、たぴなんて?」

「タピオカです!」

「ちょ、ちょっと待って!ノート持ってくるから!」

クローチェは棚からノートを持ってくると、空白のページを開き、書き込む。

「た・ぴ・お・かっと・・・」

クローチェは人間の領地・・・人間たちの生活に興味があり、こうやって、臣下たちから聞いた話しをノートにまとめていたのだ。

「そのノートもだいぶ残り数ページとなりましたねー」

「そうね、また、新しいノートを用意しなくちゃ!あーぁ、私、人間の領地に行ってみたいなぁ・・・ハンバーガーとか、味噌汁とか、タピオカとか食べたり飲んだりしてみたいな!着物とか来てみたいし、カラオケとか遊園地とか行ってみたい・・・でも、お母様がダメって言うんだよねぇ」

クローチェは、はぁとため息をついた。

「そうですねぇ・・・」

クローチェは突然、ベッドを降りる。

「え、姫様?どうされたのです!?」

「やっぱり諦められない!お母様にもう一回相談してみるっ!」

クローチェはそう言って部屋を飛び出した。


「ダメよ?」

即答だった。

「そんなぁ!行きたい!ね、変身魔法ちゃんと使うし。従者も連れてくし!ね、行きたいです!お願いしますぅ!」

「ダメです。あ、でも、お母さんが言う条件をのんでくれたら、考えてあげる」

「え!?本当に!?」

「えぇ」

「それで、条件って!?」

「クローチェのほっぺたにちゅーさせてくれるなら考えてあげる☆」


クローチェは一瞬で土下座した。

「ごめんなさい。もう、人間の領地に行きたいなんて言いません。だから・・・

ちゅーだけはご勘弁をっ!」

「あら、そうなのね?」


クローチェは、トボトボと部屋をあとにした。

「この年で、ちゅーはなぁ・・・」

「あ、いたいた姫様!」

遠くから臣下がクローチェに駆け寄る。

「どうしたの?貴方たち」

「人間の領地に偵察で行ってきたんです!ね、姫様、人間たちの生活に興味あるんですよね?」

「興味あるある!ね、さっそく話し聞かせて!」

クローチェは、人間の領地に行けなくても、こうやって、臣下たちから話しが聞けるから、人間の領地にいけなくても充分だなと思った。

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