魔王代理の娘の観察記録
天石蓮
記録1 魔王城の日常
魔王は、魔法と科学で発展した人間の領地を奪おうとした。しかし、あっさりと勇者に封印された。
これで人間たちの領地は平和になるはずだった。
しかし・・・
残された魔王の妻が魔王代理となり魔界を治めていた。
これを聞いた人間・・・勇者は再び魔王が治める領地へと向かってた。
血が滴る、赤い月が浮かぶ、永遠の夜の国、魔法で発展した魔王が治める領地・・・
魔王城では今日も・・・
「クローチェ!ほらぁ、裁縫が得意な臣下に頼んで新しい、かっわいい~モコモコパンツ作ってもらったわよ~!」
そう言って、魔王代理・・・もとい、魔王の妻、魔王の娘クローチェの母が、モコモコのウサギ柄のパンツを取り出す。
「お、お母様・・・私はもう17歳なんですけど!?モコモコパンツはもう嫌だと言ってるんですけど!」
そうやって叫ぶのは、身長150センチ、クセの強い長い黒髪は二つ三つ編みでぎゅっと押さえ、頭には、繊細な銀色のティアラ。ゴスロリのドレスに身を包み、胸はぺったん、まな板。くりっとした血の様な赤い瞳はモコモコのパンツをじっとり見ていた。
とても17歳とは思えない、モコモコパンツが似合いそうな可愛らしい女の子である。
「ちょっと、誰!?モコモコパンツを作った臣下って!?」
クローチェがそう言って臣下を見渡せば、一人の臣下がおずおずと手を挙げる。クローチェは、ズンズンとその者の前に行く。そして平たい胸を張る。
「あんなモコモコパンツとかじゃなくて、もっと・・・アレよ!その~普通な感じ!17歳の女の子相応な感じのにして頂戴!!例えばこんな感じの!」
そう言って何やらノートを取り出し、一枚の写真を見せる。そして、人間の女性がつける下着、ブラジャーを指差す。しかし、ひょいとクローチェが持っていた写真を母に取られる。
「ブラジャー・・・でも、クローチェ、こんな物をつけなくてはいけないほどの胸なんて無いでしょう?タンクトップで充分じゃない」
そう言って、クローチェのぺったんこの胸に触る母。
「お母様の・・・ばかああぁーー!あと、胸に触らなくてよろしいのっー!!」
クローチェはそう叫びながら、部屋を飛び出した。
「姫様!お待ち下さいっ!!」
メイドがクローチェを追いかける。
「あらあらぁ~これが反抗期かしら?うふふ、反抗してもわが娘は可愛いわ~」
魔王代理は、走り去る娘を見ながら微笑む。
これが、魔王城の日常である。
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