第2話

「上へまいります!」


スゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ……エレベーターがゆっくりと上昇していくGを感じた。


しゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!


やった。やったぞ、やっと異世界へ行くための最後のステップをクリアしたのだ。あとはこの女性を連れてこのエレベーターが異世界へ私たちを運んで行ってくれる手はずである。厳密にはこの10階まで上がっている間に9階までのどれかのボタンを押せば現世にとどまれる最後のチャンスを得られるというのだが私には関係のないことだった。いけるぞいけるぞ異世界!!!!!!!!!!!!!!!!!



「あのー」


は、なんか後ろの女性が話しかけてきたぞ、どういうつもりだ!?


「あなた異世界行きたいみたいですけどそれ無理ですからね!」


「は、はああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


無理ってなんだよ、てか今更ここまで来ていきなりしゃべりかけてんじゃねーよ。こっちは必死なんだぞ……


「このやり方でいける異世界って同じようにして異世界北転移者しかいないってだけのそれ以外の人がいないのを除けばさっきまでの世界と全く同じミラーワールドみたいなものであなたの考えてるような剣で戦ったり魔法や異能でモンスターと戦ってるような王国のある中世風の異世界じゃないですよ?」


な、なんだってえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?


「じゃ、じゃああなたはなんですか、本当に剣と魔法の中世風異世界への生き方知ってるって言うんですか!?」


その気味の悪い女性は首を縦に振って言った。


「ええ、まずこんなことをいくらしていてもあなたの考えているような異世界へ行くことはできませんので場所を変えましょうか? わたくしも以前あなたのように皇太子に婚約破棄されて没落した令嬢の一人です、しかしエレベーターのようなやり方で行く異世界ではなく中世風の異世界へ転生したことで無事新たにその世界の王子と結婚することができこうやって元の世界にちょくちょく戻ってわたくしとの婚約を破棄したにっくき皇太子にざまあできました。今は同じような境遇の人が無事復讐できるようこの世界と中世風異世界との行き来をサポートする仕事を行っております。同じような人がたくさんいるのでぜひお話だけでも聞いていってください!!」


え、なにこれ、わたしやばい宗教とかに勧誘されちゃうのかな……!?

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この世界に絶望したのでエレベーター乗って異世界行きます ニート @pointinline

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