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「……ふむ」


首を回し、周りを見渡して、第一印象。


『暗い』な。


暗い、というより……『夜』?

星も見えらぁ。

徐々に、目が慣れてくる。

見れば、パチパチと、松明の燃える音と灯りで『その場』の輪郭が分かってきた。


——村、だ。


まるで映画村のような、昔ながらの木造家屋が横に並んでいる。

人の気配は……無くは無いけど、みんな、こちらを伺ってる感がある気配。

……ん?

妙に静かだと思ったら、せせらぎの音も消えたし、クノミも狐も居ないな。

そして、さっきまで持ってた本も手に無い。

ふんふん、成る程、『把握』した。


シャリン……シャリン


ふと。

鈴の様な音。

それが、徐々に、大きくなって、こちらに近づいて来るのが分かる。

さて、蛇(じゃ)が出るか蛇が出るか……

いやそれだとどっちも蛇やん……邪だっけ? 鬼だっけ?

ジャリ、ジャリ……

鈴音と共に、草履の音が僕の前で止まって、


「——ようこそ【暮森村(くれもりむら)】へ」


現れたのは……『着物金髪外人少女』?

手には神具である神楽鈴(ハンドベルみたいに手で振る楽器で鈴が沢山くっついてる)を持っている。

うーん、この情報量の多さ。


「…………」

「ん?」


少女は、僕をジッと眺めてる。

いや、『目は開いてない』んだけど。


「どしたの?」

「——いや、失礼。突然の事に、お客人も混乱しておられると思います故、詳しい話は某(それがし)の家で……」


踵を返す着物少女。

言葉遣いが古風(?)だな。

ん? 見れば、もう片方の手には杖が。


「もしかして君、目が『見えない』?」

「うむ、御察しの通り。しかし、歩行には問題まりませぬ」


言って、スタスタと着物少女は歩き出した。

本当に問題はなさそうだ。


——聞きたい事は色々あったが、とりあえず黙って付いて行く。

道中、建物の玄関前に『卓上スタンドのような形の淡く光を漏らす不思議な花』が咲いていたり、

豆電球ほどの眩い光を放つ【ホタル】が飛んでいたりと、色々目についた。

松明以外の、村の闇を照らす灯りたち。

因みに、花を眺めていた時、視線を感じたので辺りを見渡すと……戸の隙間から村人らしき人達が『覗いていた』。

おかしなもので、余所者が来た事で不快な顔をされると思ったが、その逆、みなニコニコと『笑っていた』。

そんな歓迎ムードが、これまた不気味。


彼女は、一際大きな屋敷の前で足を止めて。


「こちらが某の家。どうぞ中へ」

「はぁ、どうも」


開かれた玄関。

僕は一切の警戒心も持たず一歩踏み入れると ピリッ

……静電気のような、この肌が痺れる感覚……『何かいる』な?


「どうかされたか?」

「いやぁ? 立派な玄関だなと」


まぁそれでも『気にするレベルじゃ無い』のでまんまと怪しい場所に飛んで火に入る。

逆に、『何かないと困る』しね。

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