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「っ!」
……、……?
あれ、眩しい。
カーテンから漏れる日差し。
もう、朝か。
……なんだろう、この感覚。
さっき眠りについたと思ったら、時間が跳んで、すぐに朝になった感覚で。
なのに、『長い夢を見ていた』この感覚。
それで。
さっき私を目覚めさせた、『手を叩いたような音』は?
「……起きるか」
ベッドから起き上がった私は、着替えを始めた。
「グッモーニーン、ヒトミー」
「……おはよ、ミヤコ」
『いつもの』朝の教室、朝の風景、朝の友達。
「ンー? ヒトミ、『今日も朝から』何かあったの?」
「今日も?」
何の話だろう。
ミヤコが変な事言うのはいつもの事だけど。
「なんてゆーか、今日は『浮かない顔』? 昨日は……アレ? どんな顔だったっケ?」
「いや、知らないから」
昨日……昨日って『何かあった』?
モヤモヤ
昨日の晩ご飯は思い出せるけど、お昼は思い出せない感覚。
……なんとなしに、スマホを取り出す。
何かピンとくる画像とか……ん?
「ナニ? その『真っ黒な画像』。スマホカバーしたまま気付かぬうちにスクショしちゃったとか?」
「あー、ありそう」
たまにやる失敗だ。
それだけの画像。
私は削除しようとして……少し、躊躇。
また、このモヤモヤ。
「どしたン?」
「……いや」
削除、ボタンを押した。
「アッ、そー言えば聞いた? バスケ部先輩の話っ」
「先輩?」
「ホラッ、ヒトミに告って来た人っ」
「あー……」
そんな事もあったな、先月だっけ?
……、……また胸がざわつく。
「で、その人がどしたって?」
「『狂ッタ』」
「……は? なに?」
「部活中に突然暴れたんだッテ。『来るなぁ!』とか『助けてくれぇ!』とかって、誰もいないとこに叫んでただのなんだの」
「ええ……何それ、こわ。クスリ?」
「『見えない何か』でもいたんじゃナーイ? 振っといて正解だねー」
……。
「話は変わるケド……あの! 今! ナウなヤングにバカ受けな! 話題のテーマパークの招待券! 手に入れちゃってさー。今度行かないっ?」
「え、まじ? 連れてってくれるの? 全然チケット手に入らないって話なのに凄いじゃんっ。行きたい行きたいっ」
「だよねっ。そう言うと思ってパンフレットも待ってキタヨッ。で、『ここは絶対行きたいっ』てアトラクションがあってさー」
「えー、どこどこ?」
「オバケ屋敷」
……。
私はニッコリ、微笑みながら、
「絶対入んないからね」
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