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「うん、うんっ、じゃあお母さんによろしくねっ! (ピッ)ふぅ。瓏さんっ、モリちゃんに話しました!」
「何か言ってた?」
「八橋買って来て、だそうですっ」
「生じゃない方お土産に買って来てガッカリさせようぜ」
「おや? シフォンちゃんとマカロンちゃんは?」
「帰ったよ。もし京都に来るなら連絡してくるでしょ」
「お別れの言葉言いたかったのに……まぁ、すぐに再会出来そうな予感がしますよっ」
ルンルンッと浮き足立ちながら先行して駅を進むクノミ。
土曜だからか、人の流れも多い。
えっと……電車で空港まで行って、そこから飛行機で大阪に行って、電車かバス使って京都ってルートだな。
順調に行けば、着くのは夕方頃。
全く、働き者だよ、僕ぁ。
仕事は好きじゃないけど、仕事の時は余計な事考えないで済む。
……思えば、クノミが来てから一人の時間が減ったから、余計な事を考える暇もあまり無かったな。
そういう部分は感謝してやってもいい。
口には出さないけど。
「そーいえば、瓏さんは『未来を観る』とか出来るんです?」
「なに? 急に。まぁ言霊使えば出来なくもないし、たまにデジャヴ的な感覚で脳裏に過ぎったりはするよ。基
本見ようとは思わないけどね、つまらなくなるし」
その部分は、ママンもお兄も同じ考えの人だった。
「えー、瓏さんの十年後とか見て貰いたかったのにー」
「なんでよ。そこは自分の未来じゃないの?」
「あははっ、私の未来なんかより、瓏さんの未来ですよっ。瓏さんの十年後の視界に、私が映ってさえいれば、それで満足なんでっ」
「ええ……」
僕の中の感謝は撤回された。
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