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「で。本題の、救助を求めてるマザーハート持ちは?」
「ん? ああ。多分、マザーハート持ちなら誰でもすぐに見つけられる仕様だと思うよ。この先の『例の場所』に急ごう」
「だ、誰でもって……例の場所とは?」
「まぁ瓏さんについて行けば分かりますよっ。行きましょうっ」
アタシらはクノミに手を引かれ、強引について行かされる。
まぁ、他に当てなんて無かったわけだが。
--と。
歩き出して数分後、その反応は来た。
ピカッ ピカッ
アタシら三人のマザーハートが点滅し出したのだ。
「瓏さんっ、今までに無い反応ですっ」
「もうすぐそこって意味だろねぇ。てかクノミは服がチカチカしてるから微妙にうざったいな」
「し、しかし、この先って『例の』……?」
辿り着いた先は『広場』。
「おっ、良かった、普通に『現れてくれて』」
ヤツが指差す場所。
ポツンと【それ】は地面に置かれ『点滅』していた。
これが……マザーハート?
「【魔法瓶】、ですね」
「魔法瓶だねぇ」
そう、魔法瓶(水筒)、だ。
「こ、この日用品がマザーハートだとして……持ち主はどこにいるのでしょう? (キョロキョロ)」
「そりゃあ『この中』しかないでしょう?」
……は? この中に、人が?
「あり得ないと思うかい? マザーハートだよ?」
「そう言われたら否定出来ませんねぇ。しかし、何故この中に? 自分で入って出られなくなったのでしょうか?」
「それもあるんだろうけど……」
ヤツは『含み』がありそうな言い方で最後まで話さない。
「と、兎に角早く開けて救出しなくては……」
「おっとシフォンちゃん、ここより本土に帰ってからの方がいいでしょ。まずはコレの『警戒心を解いて』やらないと」
「ふむ、確かに、まだ魔法瓶は不穏なオーラを放出してますね? どうすれば?」
「マザーハート持ち三人が『触れば』多分安心するんじゃね?」
「成る程っ。ほら二人ともっ、行きますよっ」
「お、おいっ」
「だ、大丈夫ですかね……?」
ピタッ ピタッ ピタッ
--果たして。
三人で同時に触れると、すぐに、魔法瓶から漏れ出ていた邪気はアッサリ消え去り--。
「おー! なんだかついでに『夜も明け』ましたね!」
「んー? いや、明けたというより、『戻った』かな? スマホ見てみなよ。今は『前日の昼過ぎ』だ」
……さっきから、色々あり過ぎて頭が追い付かない。
時間が戻った?
と言うより、この魔法瓶から漏れ出ていた邪気が晴れた事により、時間の流れが正常に戻った?
「楽しい時間は過ぎるもの、夢は覚めるもの、だね」
パンッ と手を叩く音と同時に、煌びやかだった遊園地のライトアップは消え、徐々に、アトラクションは枯れ錆びていく。
昼に見た時よりも時間の経過を感じるのは、これが本来の姿だからだろう。
物寂しさを覚えるが、ここは再開発される。
また、明るい日々が戻って来るはずだ。
プルルルルーー
「あっ……ま、マカロンちゃん……『あの人から』……」
「……今更掛け直してきやがって」
結果的に、ウチらの仕事も終わらせられたわけだが……あの野郎に、どこから説明すりゃあいいのか。
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