オーディション

チーム演出

結局、助演出は五木君が誰でもいいと投げ出して、花がスカウトして決まった。

衣装メイク希望だったけど、明るくて女子の友達が多い石田さんと、ハチくんと相馬くんと仲が良くて男子に人気なあっくんに頼んだ。

それから、少し意外だったのが、エレンちゃん。普段からクールな印象で、クラスの行事とかあんま熱心じゃないと持ってたんだけど、やりたいって言ってくれた。まあなんか、他のクラスは助演出もっといるよ?こんなんで大丈夫なの?みたいなことを言われた気もするけど、でもそれも嬉しいことだ。



「…で、キャスト志望の人数と、役の数を比べると、一人足んない、と。」

こうして、話すようになってわかったんだけど、エレンちゃんって、結構アツくて気が強い。いまも、そんなんでだいじょうぶなの?と文句を言ってる。演出氏、大丈夫かなあ…。

「まあでも、足りないとしても、ちょい役だし、そこはなんとかなんじゃない?」

あっくんは、ハチくんに似て、冷静でどんと構えてる感じがする。フットワークの軽さはハチくんには及ばないけど。

「それよりも、主役とか大事な役にやっぱ希望が被ってんだよなー」

五木君、そうなんだよ。さすが、大事なところに話を向けてくれた。ヒロインのホシミ役には千秋ちゃんレイナちゃんが、ヒーローの鉄平役には、世良、ハチくん、哲郎君が希望してるようだ。

「オーディションかあ。どうやってやる?」

石田さんは、行事ごとというか、イベント好きっぽくて、オーディションもなんか楽しんでる感じがする。ちょっとどうかとも思うけど、こういう子もいないと重たくなりすぎるし、まあいいよね。

「あ、えっと、オーディションだけど、例年はクラスで公開でやって、フィードバックは見学した人全員に書いてもらうんだけど、最終的な審査は演出・助演出・舞台監督でやることが多いって。」

受け売りをそのまま垂れ流す。これも私の仕事。

「確かに、それなら冷やかし半分で見にくる人も減りそう!」(石田ちゃん)

「けど、クラスの意見と演出チームの意見が違っちゃったらまずくね?」(あっくん)

「そんなん、演出チームの意見が絶対だよ。スポーツの審判と一緒!」(エレンちゃん)

この三人、バラバラだけど、まあ、バランスはとれてるのか。五木君は若干押され気味だが…

「まあ、やりかたは、三浦さんのでいいよ。あとは、一人複数役エントリーできるようにしたいかも。」

「なるほどね、それならそれで。三役くらいなら収拾つくかな?」

そんなこんなで、結局五木君と私で大枠を決めてしまった。うーん、いいのかなあ…。なんとか早めに助演出陣を使えるようにしなくちゃ。そうだ!

「オーディションする場面は、演出チームにまかせてもいいかな?私は、足りないキャストをどうするかとか、裏方の事前調査の方をやっておくから」

「まあそりゃそうだよね、おけ。三浦さんもいろいろありがとう、よろしく。」

五木君、いよいよ大変な仕事だし、不安もあるだろうけど、頑張って。

「じゃあ、決めてこっか。みんな台本読んでる?」

うん、だいたい!その役の山場がいいよね~。とか聞こえてくる…まあ、何とかなるっしょ。信じよう。

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