新・生活
私は、様々な目を避け、新幹線に飛び乗った。必死だった。
いくつもの電車を乗り継いだ。
「春、たのしいの?」
なんで、こんな時に笑うの。
私を励ますかのように春はきゃっきゃっと笑った。
お金はなかったが、ここまでたどり着いた。お母さん、お父さん、守ってくれたんだね。
窓の向こうには溶け切れていない雪が残っていた。
着いた土地は、北海道。ここなら大丈夫。まずは、家、そして働く場所を探さなきゃ。
「春、今日から二人家族だよ。頑張ろうね。」
春の頬にギュッと頬を合わせ、抱きしめた。
雪道を二人で、歩いていたところ、現在のアパートの大家さんに助けられた。
おばあちゃんだったが、とてもやさしくしてくれた。すべての事情は話せないが、ここまでの経緯を軽く話すと、抱きしめてくれた。
「さくらさん、頑張ったね。1部屋余っているから使いなさい。角に小さなスーパーがあるからそこでレジのアルバイトができるようにお願いしておくわ」
なんだか、おばあちゃんを思い出した。北海道のどのあたりなのか詳しくはわからなかったが、生まれ育った場所に少し似ている気がした。
小さなアパートでの二人暮らしが始まった。
寒い冬から、私の好きだった季節がやってくる。
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