新生活
看護学部は常に忙しく。実習、レポート、テストに追われる日々。
思い描く大学生活は送れていなかったが、明るく、元気で素直な性格、くしゃっとした無邪気な笑顔に周りは友達であふれていた。
その中でも、さくらと同じように大学から上京してきた綾美とは意気投合し、
なんでも話し合える親友と呼べる存在だった。
綾美はさくらとは似ても似つかない性格で、大人しく、人見知りで、あまり笑わない女の子だった。
同じ看護師を目指す二人は、お互いを支えあい、毎日を過ごしていた。
大学生活は人生の夏休みといわれているほど、遊んで、遊んで、遊びまくれると思っていたが、気づいたらもう3年生も終わろうとしていた。
実習に追われ、就職活動に嫌気がさす綾美はいつも弱音を吐いていた。
「さくらちゃんは、すごいね。いっつも頑張ってる。私はもうむりだよお。」
「そんなことないよ!綾ちゃんには綾ちゃんにしかできないことがあると思うよ!」
「私にしかできないことかあ。」
「おじいちゃんや、おばあちゃんと話す綾ちゃんはとても輝いてる!!病院には綾ちゃんみたいな人が絶対に必要だよ!」
綾美は、行き詰まっているときはいつもさくらに答えを求めようとした。
さくらはいつも答えではなく、本当に欲しい言葉を返してくれる。
こうした優しさもさくらの良さだった。友達も多かったが、友達にもいろんな種類がいる。
「さくら!合コンこない??今回はすごいよ~~ベンチャー社長でしょ!医者!料理人!息抜きも大事!さくらいこ!」
看護学部には、看護師の道を諦めかけている友達もいる。
そんなに、目を輝かせないで。断れないの知ってるくせに。さくらは乗り気ではなかったが、しぶしぶ行くことにした。
さくらは、男に興味がないことはない。これまでも何人かとお付き合いをしたことがある。しかし学校が忙しいということもあり、長くは続かず、それからは勉強を言い訳に男に心を閉ざしていた。
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