第3話 ファンタジーアイテム

「んじゃまずはさっそく、自衛手段を構築しなきゃな」


 せっかくのスキルだが、もし今、モンスターに襲われたら対抗手段がない。

 そういう状況が起きても大丈夫なように準備しておく必要がある。


 俺は《ショップ》を使い、武器のカテゴリーを開いてみた。 

 武器だけで十万件を超えてるってすげえなぁ。

 つか一体誰がこの〝SHOP〟を管理してるんだろうか。……まあ考えても仕方ないし、そこは恩恵だと思って、ありがたく使わせてもらおう。


「おお、銃もあるんだな。……やっぱ買っておくか?」


 だが使いこなすには時間がかかりそうだ。今はもっと扱いやすいものの方が良いかもしれない。


「……ん? 《フレイムナイフ》? ……切った対象を燃やすことが可能、か。はは、出たよファンタジーな武器」


 しかも値段はそう高くない。というより普通のネットショッピングの定価より全体的に大分安い。これは助かる。


「手軽に扱うとしたらやっぱナイフ系だよな。できればファンタジーな方が攻撃力を考えると優先したいが……」


 その中で俺の目を惹いたナイフがあった。


「――《キラーナイフ》か。5%の確率で、相手を即死させることができる効力を持つ、ね」


 これだったら普通のナイフとしても扱えるし、戦闘でも立派に活躍してくれそうだ。

 ただし高ランクのモンスターには、即死耐性が備わっている場合が多く効かないらしいが。

 そもそもそんな強いモンスターが現れたら逃げの一択なので別に考えなくて良い。


「じゃあ《キラーナイフ》は買いであとは……」


 俺は他にも、切った部分から腐食させることができる《アシッドナイフ》を購入した。

 ポイントではなく、現金を消費して購入するつもりだ。


 現在の残金は――14623982円。


 ただの高校生には過ぎた額だが、これもすべては親の金だ。生命保険にも加入していたことからも、かなりの金額が俺に入ってきたのである。

 俺は二本のナイフをカートに入れてから、次は防御方面へと移った。


「やっぱナイフ同様に、エンチャントされたような服とか装飾品が売ってるなぁ」


 力を増す指輪や常に清潔さを保つ服など様々だ。

 その中でも俺は、いつも着替えなければならない服よりは、靴や装飾品の方へ興味が湧いた。


「これいいな……《アクセルシューズ》。走る速度が上がるのは買いだ」


 逃げに徹する時は大いに役立ってくれるだろうから。


「あとはかなり高額だが、これは欲しいな――《パーフェクトリング》」


 この《パーフェクトリング》は、三百万円もする高額商品だが、身に着けているだけで身体能力が激増するらしい。

 それこそ《パワーポーションB》クラスを、ずっと飲み続けているような向上率だ。

 ただこのリング、物理的な力だけでなく防御力なども増強されるので、生存率を考えるとかなり良い。

 これさえあれば、不意にゴブリンの一撃を受けてもほぼダメージはゼロだそうだ。


「よし、これで大分安心できるようになったな。他にも食料や《ポーション》シリーズを幾つか買い溜めしておくか」


 そうしていろいろ選別してカートへと入れて、いざ精算へと移る。


「うわぁ、全部で五百万近く使ったし。こんな高額な買い物……あの世で親父に叱られそうだな」


 残金――10033652円。


 まあそれでも今の自分にとって必要だと思ったものを購入したので後悔はない。

 それにもし金が底を尽きかけた時の対応策もちゃんと考えているので問題はない。

 俺はさっそく《パーフェクトリング》を装着する。


 すると《パワーポーションC》を飲んだ時以上に、自分の身体が軽く感じ力も増している気がした。

 五感も鋭くなっていて、まるで生まれ変わったかのような気分だ。

 ナイフ系は、ここで出すと危なそうなので止めておく。《アクセルシューズ》も外に出る時までは《ボックス》に収納しておいた方が良いだろう。


 俺は一息吐き、気が付けばもう日も暮れて夜になっていたので、冷蔵庫から食材を取り出して調理し、冷やし中華を作って食べた。

 ただその際に、力の加減を間違って野菜を握り潰したりまな板に包丁を深々と刺してしまったりしたので、早くこの加減は覚えなければならないと痛感したのである。





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