夕方5時の大地震

今日大地震が来ます。

夕方5時ぐらいです。備えてください。

そんな風にアナウンスがあったら

いったい何をするんだろう


生きたがりの僕は知らない学校の校庭の中心で

大事であろう物に囲まれながら

大事な人が無事であることをぬけぬけと祈るのだろうか


ああ、お母さん、あなたを救おうとしない

ああ、お父さん、あなたを救おうとしない

生きたがりの僕は知らない学校の校庭の中心で

虚しいほど自身を救おうとするんだろう


ここが世界の中心

少し離れたところに滅びかけた日常

もっと離れたところに僕の親

抱きしめた財布の小銭入れが

じゃらりじゃらりと無為に鳴く


もっと救うべきものがあるんじゃないか

もっと頑張るべきなんじゃないのか


そう思いながら生きたがりの僕は

名も知らぬ学校の校庭の中心で

ちゃっかり生きる為の準備を済ませる


感傷だ、感情だ、勘定だ、願成かんじょうを。


そうして助かって、少し落ち着いて、

ああ、あなたを心配してたと連絡をするんだろう

涙の理由が沢山あってわからなくなりながら

それでも安心したと声を震わせて。


きっと、そんな風にするだろう

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